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紀行/雀蜂の襲撃だ~

 私、奄美探検隊隊長は、昨今、某機関からの依頼を受けて城郭の遺存状況を調査している。準備が整ったので、本日(9月12日現在)から本格調査を始めた。

土塁、堀、夏の下草と雑木が繁茂してえらい状態。土塁から深さ7mはあるだろう堀の底に下りて行きつつ対岸の重要箇所を撮影する。バイクのような音。蜂だ。スズメバチ。5匹。

 こういう場合は、じっとしていることだ。あ、10匹。私は白い作業着をきている。攻撃こそしてこないが、探りをいれている。

(そこに立ってるのは、人間かしら木かしら、どっちよお?)

 10分経過。

 20匹になった。蜂は頭を低くするといいという。しかし、蜂どもは腰から下を重点的に調査している。そのうちの1匹が、

(みんなで、なにもたもたしているの? 刺してみたらいいのよ。飛び跳ねたら人間よ。エイっ!)

 私の足元では唯一黒い部分であるスニーカーの縁の境目から、靴下越しに、プチっ、と刺す。

 私は蜂対策マニュアルを無視して、堀の底に飛び降りた。そしてたまっている水に靴ごと突っ込んで冷やす。応急処置で五分間。冷やすことで炎症を抑えるのだ。また偵察蜂がよってきた。部隊が集結する前に、危険区域から退散することにした。城跡から事務所まで30分弱の運転。少し痛くなってきた。クーラーで患部を冷やしていたら、足がつってきた。

 ひどい腫れではないが念のために病院に行くことにした。事務所のアルバイト職員の方々に指示をだし、病院の場所を訊く。持ち合わせがないので、銀行で現金をおろし、その近くでみつけた病院に入る。

初診手続きに20分くらい。痛みが増してきた。

 1回目だから良いが、2回めだと危険な状態になるという。――位医師は私の職務になる様子で、根掘り葉掘り訊いてくる。そのうち、水戸天狗党の武勇伝が始まり20分ほど訊かされる。相変わらず腫れは大したことはない。だが痛みが酷くなってきた。いい加減に待ったところで、ようやく点滴が始まった。1時間の予定。リクライニングシートでTVがついていた。相撲が中継させれていた。看護婦が、私の容態を何度も確認にくる。

「顔色が悪かったので」

 なら、早く治療してくれれば良いのに、と思いつつ、笑顔をつくったつもり。ひきつっていなければよいのだが。

 治療終了後、水戸から常磐高速道路でいわきに帰宅する。地震被害の大きかった北茨城から勿来附近では、街明かりと黒くなっている海が見えた。中秋の名月が大きく映っている。

 ともかく、生還したぞ。 ^▽^/

     了

.

ノート20110910/校正20160508

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