読書/柳広司『ジョーカー・ゲーム』ノート20171212
柳広司『ジョーカー・ゲーム』角川書店2008年
『ジョーカー・ゲーム』は、サマセット・モームの『アシェンデン』をベースにしたと思われる短編スパイ小説シリーズだ。
まず、『アシェンデン』を紹介しよう。そこに登場する同名の人物は、第一世界大戦の折、イギリス情報局MI6のR大佐にスカウトされた作家で、対象地域に赴いて、手足となる現地スタッフを動かし諜報活動をさせ、報酬を支払う。ゆえに、アシェンデンは語り手として毎回登場するのだが、主人公は現地スタッフで毎度変わることになる( http://ncode.syosetu.com/n8093bg/69/ )。
この基本構図は『ジョーカー・ゲーム』でも同じだ。ただ、本作では、第二次世界大戦前夜の大日本帝国スパイ養成学校D機関内部で、アシェンデンとR大佐の立ち位置が統合されて、結城中佐に置き換えられている。
柳広司主要作品は、『ジョーカー・ゲーム』、以下『幽霊』『ロビンソン』『魔都』『XX』となっている。『ジョーカー・ゲーム』の解説は元官僚で作家の佐藤優氏である。
蛇足ながら、戦前、『アシェンデン』を原作に、イギリスのヒッチコック監督が、アメリカにわたってメガホンをとったのが、「間諜最後の日」( http://ncode.syosetu.com/n0940bz/22/ )だ。
ノート20171212