随筆/道具をつかう鳥
NHK 『ダーウインがきた』を観ました。鳩ほどの大きさをしたカレドニアカラスは、小枝やちぎった葉を利用して、虫を捕らえます。落ちた枯れ枝をつかう個体もいるばかりか、若枝を利用する個体もいます。さらに凄いのは、枝分かれした部分をつかったフックです。
フックというものは、人間以外では、カレドニアカラスしかつくれないとのことです。カラスのつくったフックは釣り針に似た形をしていました。
枝、葉、さらに若枝を加工したフック----これら道具を使いこなします。これは本能ではなく、学習により、親から子へと技能は継承されていきます。
しかもグループにより道具は、小枝派、葉っぱ派、フック枝派に分かれます。人類学では、こういう伝承される技能を「文化」と呼びます。カレドニアカラスを長年研究してきたキャビンハント博士は、このカラスには「文化」がある。と考えているようです。
カラスは、1年~数年間、幼鳥から親についてまわって道具の作り方から使い方まで、盗んでは学習します。膨大な失敗作のうえに使える道具をつくっていきます。島の森は痩せていてけして豊かではなく餌となる虫は少ないため、不器用なカラスは餓死するしかありません。――そういえばガラパゴス・フィンチも、棒状の小枝で、虫を木の穴に突っ込んではとっていましたよね。
人間も努力ですよねえ。「ハングリー精神」というのはこういうことですよね。
うちで飼っている白文鳥の王様も、藁を巣篭の格子にぶつけては、鉄琴、として音を楽しみ、また、ミント入りの牧草に替えててやると、ミントティーにして香りを楽しんだりしています。
了
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ノート20091122/校正20160506