14 フレアの想いと向かい合う
俺はフレアの部屋の前に立っていた。
すうはあ、と深呼吸。
あ、あれ?
なんで俺、こんなに緊張してるんだ……。
ただ妹と話すだけだっていうのに。
「フレア、ちょっといいか?」
「ひやぁぁぁぁぁっ!?」
ドアをノックすると、部屋の中からフレアの驚いたような声が聞こえてきた。
「ご、ごめん、今はやめておいたほうがいいか?」
「い、いえ、ちょっとお兄様とのことを妄想して……じゃなかった、だ、大丈夫ですっ、今開けますぅっ……!」
部屋の中でバタバタした音が聞こえる。
何をやっていたんだろう……?
しばらくしてドアが開いた。
「はあ、はあ……お、お待たせしました……」
フレアの息が荒い。
顔も赤かった。
……本当、何をやってたんだろう?
まあ、いいか。
「その、さっきのことで話したいんだけど……いいかな?」
「さ、さっきのこと?」
フレアはまだ顔が赤い。
まるで熱に浮かされたように、ポーっとした様子で俺を見つめていた。
たとえるなら恋する乙女のような……って感じか?
いや、もちろん俺たちは兄妹だし、フレアがそんな感情を俺に抱くわけはない……んだけど。
「やっぱり兄妹でああいうことはするべきじゃないと思うんだ」
「……怒ってますか、お兄様」
フレアの体が震えた。
みるみるうちに目の端に涙がたまっていく。
「い、いや、違う! 怒ってるわけじゃないよ!」
俺は慌てて言った。
「では、どういう気持ちですか?」
フレアが俺に近づく。
「どういうって……」
思わず口ごもる俺。
……どういう気持ちなんだろう、俺は。
ただ、フレアの態度が気になるんだ。
兄妹という一線を越えているような気がする、フレアの雰囲気が――。
「私は」
俺が頭の中で返答を整理していると、先にフレアが口を開いた。
俺はごくりと息を飲み、妹の次の言葉を待つ――。