表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

93/133

8 仲間

「仲間? ぬるいな。お前、そんなものが欲しかったのか」

「……そうだ」


 ゼルスが小さく息をついた。


「自分で思っているより、俺は仲間というものを強く欲していたらしい。それに気づいたんだ」


 だから、もう『銀水車』には戻らない――。


「……くだらん」


 ラシッドが忌々しげにつぶやいた。


「お前のその温い感傷を断ち切ってやろう」


 と、右手を掲げた。


「【ブラストボール】」


 そこに黒い魔力球が生まれる。

 だが、その攻撃はゼルスに向けられたものではなく――、


「そら」


 ティルトの王城へと放たれる!


「馬鹿な!?」


 ゼルスは思わず叫んだ。


 ティルト王城に向けて攻撃魔法を放つなど正気とは思えない。


 王族や貴族などにどれだけの被害が出るか……。

 もちろん、王城には強力な魔法結界が張られているが、ラシッドの一撃はその結界すら突き破りそうなほどの魔力量である。


「や、やめろ……っ!」


 ゼルスは思わず叫んでいた。


 組織にいたころの自分なら、なんとも思わなかったかもしれない。

 しょせんは他人事だと……戦いに巻き込まれて死ぬ者など、ただの弱者だと斬り捨てたかもしれない。


 だけど、今は違う。


 今は――もう。


「だ、誰か、そいつを止め――」




 ばしゅんっ……!




 まるでゼルスの祈りが通じたかのように。


 黒い魔力球は王城に向かう途中――空中で消滅した。


「えっ……?」


 ゼルスは呆然となる。


「なんだと……?」


 ラシッドも同じく呆然としているようだ。


 一体誰が――!?


 驚いていると、ほどなくして。


 かつ、かつ……という足音とともに、前方から誰かが歩いて来た。


「あれ? ゼルスじゃないか」


 現れたのは――エリアルだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↑の☆☆☆☆☆評価欄↑をポチっと押して
★★★★★にしていただけると作者への応援となります!


▼新作です! こちらもよろしくです~!▼
乙女ゲーの没落貴族に転生 ~原作知識で領地改革&有能な人材をかき集めて、破滅フラグはまとめて叩き折る。気付けば領地は繁栄し、俺はハーレム生活を堪能していた~


― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ