表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

90/133

5 再会

 SIDE ゼルス



『希望の盾』の仕事を早退したゼルスは、ひと気のない路地裏である人物と会っていた。


「久しぶりだな、ゼルス。すっかり役人になっちまって」


 ニヤリと笑った青年は、ゼルスより三つほど年上だ。

 糸のように細い目に精悍な顔つき。


「役人とは少し違うけどな、ラシッド」


 ゼルスは彼……ラシッドを軽くにらんだ。


 緊張感はすでに最大限にまで高まっていた。


 相手は、かつて自分が所属した組織の一員。


 そこで最強と呼ばれていた魔術師なのだ。

 彼がその気になれば、次の瞬間にもゼルスは無数の肉片にされてしまうだろう。


「おいおい、表情硬いねぇ~。再会を喜ぼうぜ? な?」

()はお前のような楽天家じゃないんだ、ラシッド」


 ゼルスは表情を崩さない。


「お、いいね。組織にいたころの口調に戻ってるじゃねーか」


 ラシッドは嬉しそうな顔をした。


「なんの用だ、ラシッド」


 ばちっ、ばちぃっ。


 ゼルスの全身からスパークが弾けた。

 半ば無意識に高めた魔力が、放電しているのだ。


「だから、殺気立つなって。俺に戦う意思はねーよ」

「俺にもない」


 ゼルスはふんと鼻を鳴らす。


「お前が本当に戦闘の意志を持たないなら、だけどな」

「疑い深いねぇ~。そういうところも懐かしいぜ」


 ラシッドが目を細める。


「じゃあ、単刀直入に条件を言おうか。実はな、我らが魔術結社『銀水車(ぎんすいしゃ)』の頭領が――」




「組織に戻ってきてほしいだと? この俺に――」


 ゼルスはラシッドからの話を聞き、驚いて彼を見つめた。


「そういうこと。ちっと大きな仕事が舞い込むらしくてな。戦力が足りねーのよ」

「戦力……ということは、戦いになるわけだ」

「だな。組織ナンバーワンの俺とナンバーツーのお前、二人そろえば無敵だぜ?」

「『元』ナンバーツーだ。今の俺は組織から足を洗っている」

「洗えるわけねーだろ」


 ラシッドの表情が険しくなった。


「一度でもこっちの世界に身を置いたら、もう戻れねーんだよ。お前だって分かってんだろうが」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↑の☆☆☆☆☆評価欄↑をポチっと押して
★★★★★にしていただけると作者への応援となります!


▼新作です! こちらもよろしくです~!▼
乙女ゲーの没落貴族に転生 ~原作知識で領地改革&有能な人材をかき集めて、破滅フラグはまとめて叩き折る。気付けば領地は繁栄し、俺はハーレム生活を堪能していた~


― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ