4 ラムの気持ち2
「君たち、そんなに仲がよかったのか? 雰囲気が恋人同士みたいだな? むしろ夫婦か?」
言いながら部屋に入ってきたのは、ゼルスだ。
ジト目で俺たちを見ていた。
「いちゃいちゃもほどほどにね。ここは職場だ」
「ど、どうも……」
こいつ年下だけど、仕事に関しては本当にしっかりしてるからな……。
注意されても素直にうなずけてしまう。
「あんたはイチャイチャする相手、いねーの?」
と、シャーリーがニヤリと笑った。
「ない」
即答だ。
「ふーん、顔はいいのにねぇ」
シャーリーがますますニヤリとする。
「さっきもあんた宛に手紙をもらったぜ? モテるねぇ」
「僕に手紙?」
訝しげに首をかしげるゼルス。
「見せてくれ」
「ほい」
シャーリーが手渡した手紙を読むゼルス。
やっぱりラブレターとかだろうか?
俺はもちろん異性からそういう手紙をもらった経験はない。
基本、非モテだからな……。
「これは――」
ゼルスの顔色が変わった。
「ん、どうした?」
「やっぱりラブレター? ん? おねーさんに教えてみ?」
「そんなわけないだろう」
「じゃあ、なんです? 何か怪しいお誘いとか……」
「違う……!」
ゼルスがこわばった表情で俺たちを見回す。
それからハッとしたように、
「いや、実はラブレターだったんだ今すぐ付き合ってくださいゼルス様と書いてある嘘じゃない」
明らかに嘘だよな……。
――その日、ゼルスは急用ができたとかで、朝のうちに早退した。