2 使徒、出現
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新作『仲間に裏切られた俺は魔王に転生する。俺だけの最強国家を魔界に築き上げ、最強魔族の軍団を編成したので、地上にいる仲間の領土に侵攻する。さあ、待ってろよ裏切り者ども。』を始めました!
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「――来るわ」
リーファが上空を指さした。
青い空に緑色の染みのようなものが広がっていく。
その染みが凝縮し、緑の光沢をもつ巨大な甲虫へと変化した。
「【雷甲虫】ね。物理防御が固い強敵よ。雷撃を使うから気を付けてね」
と、リーファ。
「ま、あたしたちがすぐに倒しちゃうんだけどね。魔法師団全隊員詠唱開始!」
命令とともに団員たちがいっせいに呪文の詠唱を始めた。
やがて呪文が完成し、火炎や雷撃、竜巻に吹雪など様々な攻撃魔法が【雷甲虫】に向かっていく。
さらに、
「砕けろ――【ライトニングブラスト】!」
リーファ自身も雷撃魔法を放った。
彼女と団員たちの放った魔法は空中で一つに合わさり、使徒に命中して大爆発を起こす。
ぐおおおおおおおおおおおおんっ。
悲鳴を上げて使徒が墜落した。
ず……んっ!
地面に叩きつけられ、ひっくり返ってピクピク震えている使徒。
まるで虫が死ぬときのような感じだ。
「ふん、大したことはなかったようね」
リーファが鼻を鳴らした。
「どう? これが大国エルメダの対使徒部隊の実力よ」
強い――。
使徒が相手でも出合い頭に強烈な攻撃を叩きこみ、問答無用の先手必勝で殲滅する。
実に戦い慣れている。
ただ、
「――まだだ!」
俺は思わず叫んだ。
嫌な気配がする。
それは野生の勘のようなものだったのか。
それとも俺が持つ称号【使徒を討つ者】の効果なのか。
いずれにせよ、俺は瞬間的に悟っていた。
まだあの使徒は死んでいない。
そして、おそらく――。
「離れろ、リーファ!」
俺は反射的に彼女に飛び掛かり、押し倒していた。
「きゃあっ、な、何するのよ……っ!?」
「頭を上げるな、このまま――」
次の瞬間、閃光が放たれた。
ざんっ……!
一瞬前までリーファが立っていた位置を薙ぎ払い、そのまま後方の壁をバターのように斬り裂く。
「えっ……?」
「――危なかったな」
もし俺が押し倒さなかったら、たぶんリーファは胴体から切断されていただろう。
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