2 エルメダ王都防衛線2(追放者視点)
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新作『仲間に裏切られた俺は魔王に転生する。俺だけの最強国家を魔界に築き上げ、最強魔族の軍団を編成したので、地上にいる仲間の領土に侵攻する。さあ、待ってろよ裏切り者ども。』を始めました!
序盤の伸びがとても大切なので、応援いただけたら嬉しいです。
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(まずい、殺される……!)
ウィンド伯爵は死を覚悟した。
その瞬間、今までの人生で経験した出来事が走馬灯のように浮かび上がっていく。
最初の妻との結婚。
生まれた一人息子。
幸せな日々と、その崩壊。
妻の不貞を知り、最愛の息子も不貞相手の子だと知らされた絶望。
その後、二度目の結婚と娘や息子が生まれ、ようやく訪れた幸せ。
そして、二度目の妻も不貞をしていたというさらなる衝撃。
(俺の人生、裏切られ、失望して……の繰り返しだったなぁ)
気持ちが暗くなる。
追放してしまったエリアルのことを思い出した。
子どものころから虐待し、スキルが弱いことを理由に家を追い出し、スキルを強化して戻って来ても、結局はもう一度追い出した。
血のつながらない息子。
妻の不貞の事実の結晶のような息子。
だが――。
(あいつは、俺に『ありがとうございました』って言って出ていったんだよな……)
今さらながらに胸が痛む。
うおおおおんっ。
使徒は六本の腕を振り上げた。
伯爵を直接叩き潰すつもりなのだろう。
「ぐっ……」
攻撃スキルはすでに撃ち尽くしたし、まったく通用しない。
防御系のスキルをいちおう発動するが、使徒の攻撃を防げるとはとても思えない。
(駄目だ、殺される――)
ぶおんっ!
使徒が六本の腕を振り下ろし――、
「父上ぇぇぇぇぇぇぇっ!」
がきんっ!
使徒が振り下ろした拳は、突然出現した魔力のシールドによって跳ね返されていた。
「な、なんだ……?」
伯爵は呆然となる。
このシールドは彼のスキルではない。
別の誰かが生み出したもの――。
と、
「無事ですか、父上!」
瓦礫の向こうから誰かが走ってくる。
凛々しい黒髪の青年――。
自分には似ても似つかない顔の『息子』。
「お前は――」
伯爵は呆然と目を見開いた。
「エリアル……!?」
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