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 ……が、その笑顔も一瞬のこと。


「話はそれだけだ、エリアル殿。では失礼する」


 すぐにサイドスは厳めしい顔つきに変わり、去っていく。


「なーんか、嫌な感じですよね~」


 ラムが怒ったような顔で言った。


「エリアル大活躍だったのに」


 どうやらサイドスの笑顔を見たのは、俺だけだったらしい。


 彼も立場上、俺を表立って褒めるわけにはいかない……ということなんだろう。

 ただ、最後の言葉……『多くの兵の命が救われたことへの感謝』こそが、将軍の本音なんだということも、十分に察することができた。


「はは、将軍には将軍の立場があるんだよ」


 だから、俺はサイドスのフォローをしておいた。


「優しいんですね」

「いや、将軍の言うことは正論だし。ただ俺たちには俺たちの理があって行動した。それも事実だよ。結果的に勝利できたわけだし」


 俺は小さく肩をすくめる。


「それぞれに言い分があって、お互いの意見をすり合わせた――今のはそういうことだ」

「あたしには嫌味を言われたようにしか感じられないでーす」


 ラムが口を尖らせた。

 それから微笑み、


「でも、エリアルが気にしてないならよかった。あたしも、これ以上言うのはやめますね」

「ああ。今は勝利の喜びに浸ろう」

「さんせーい」




 こうして、戦闘はティルト軍の大勝利に終わった。


 とはいえ、これは緒戦。


 敵国がこのまま本国まで引き上げるのか、それともふたたび攻めてくるのか、それは分からない。


 俺は戦場にとどまることにした。

 ラムやゼルス、ランバート、シャーリーも一緒だ。


 俺たちは集まって食事をとっていた。

 スキルを連発したせいか、けっこう腹が減っている。


「とりあえず……おつかれさま、エリアル~」

「まあ、今回はすごかったと言っておこう」


 ラムとゼルスが言った。


「いや、本当にすごかった。あんたの活躍……英雄クラスだろ」

「だね。私も血がたぎったぜ」


 ランバートとシャーリーは興奮しているようだ。


「はは、どうも」


 一方の俺は何とも言えない気持ちだった。


 彼らのような高揚感は、あまりない。


 あるのは安堵感。

 人を殺さずに済んだという安心だ。


 そして同時に不安も感じている。


 ゾナームがこのまま引き下がってくれればいいけど、もしまた攻めてきたとしたら――。


 今度は殺さずに追い返せるだろうか?


 今度こそ彼らを殺さなくてはいけないんだろうか。

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乙女ゲーの没落貴族に転生 ~原作知識で領地改革&有能な人材をかき集めて、破滅フラグはまとめて叩き折る。気付けば領地は繁栄し、俺はハーレム生活を堪能していた~


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