4 引き続き俺はスキルで戦場を無双する
ず……ん、ず……んっ。
地響きが聞こえてきた。
「あれは――」
敵兵の向こうから現れたのは、全長20メートルを超える巨人。
いや、巨大な人型兵器だ。
「魔導人形……けど、あんな巨大なタイプは初めて見るぞ……!」
ゼルスがうめいた。
「あちらさんの新兵器か? ハードだな、ちっ」
ランバートが舌打ちする。
「そのまま前進だ……ティルトの連中をぶっ殺せ!」
指揮官らしき男の声が響いた。
「いくらお前の魔法がすごかろうが、この新型ゴーレムには通じん!」
「じゃあ、試してみるよ」
俺は右手を突き出し、
「【ファイアアロー・極】!」
まずは小手調べの攻撃だ。
敵側の反撃も予想して『炎』属性の魔法を選択した。
さあ、相手はどう出る――?
無数の炎の矢がゴーレムに叩きつけられ、
「【魔力反射ミラー・展開】!」
指揮官が叫んだ。
ゴーレムの胸元の装甲が開き、鏡面のようなパーツが現れた。
ごうっ!
炎の矢はその鏡面に触れたとたん、こっちに向かって跳ね返ってくる。
なるほど、魔法を反射するのか。
「【アイスシールド・極】!」
俺はすかさず防御魔法を展開した。
炎属性の【ファイアアロー】は氷属性の【アイスシールド】によって、完全に防がれ、蒸発する。
もしかしたら攻撃を跳ね返すタイプかもしれない、と予想していたので、攻撃手段に炎属性を選んだのだ。
こっちに跳ね返ってきても氷属性で簡単に防げるからな。
「あいつ、魔法を反射するのか」
「俺たち魔術師の出番はなさそうだな……」
ゼルスとランバートが言った。
「じゃあ、あたしたちの出番ですねっ」
「やってやるぜ!」
ラムが剣を、シャーリーが斧槍を、それぞれ構えた。
「いや、もう一回俺にやらせてくれ」
そんな二人を制して、俺が剣を抜いた。
「何か策があるんですか、エリアル?」
「ない」
俺はきっぱり言った。
「だから力押しする」
我ながら身もふたもない結論だった。
けど、剣と魔法の両面で『極』クラスのスキルを大量の身に付けた俺にとって、それがある意味で最善の策だ。
「はああああっ!」
突進からの連撃を繰り出す俺。
ゴーレムの関節部に【旋風斬り】や【三段突き】を浴びせていく。
もちろん剣の方が壊れないように慎重に。
その辺りの力加減は、『極』クラスのスキルを持つ俺にとって難しくない。
ゴーレムの反撃は【身体強化】や【駆け足】、【集中】、【無我の境地】辺りを総動員して、やすやすと避けていく。
やがて――、
ばきん、ばきん。
四肢の関節部を破壊し終わると、ゴーレムは大の字に倒れて起き上がれなくなった。
無力化完了だ。