3 俺はスキルで戦場を無双する
「戦闘が再開されたんだ」
ゼルスが言った。
「僕は行く」
「あたしもでーす」
指揮官のところに行くのは後だ。
俺はゼルスやラムと一緒に爆発音がした方に走り出した。
「そういえば、ランバートやシャーリーはいるのか?」
「いますよ~」
明るくうなずくラム。
「二人は最前線にいるはずだ。僕らも合流しよう」
俺たちは最前線にやって来た。
すでに魔法の撃ち合いが始まっている。
こちらから火炎や稲妻などを撃ち放ち、向こうからも同様の攻撃魔法が飛んでくる。
「威嚇代わりだ」
俺は両手を突き出した。
手持ちの魔法系スキルをいくつか撃つことにする。
まず【高速詠唱・中級】を使い、即座に魔法を発動した。
「【ライトニングボルト・極】!」
ごうっ、ばりばりばりばりっ……!
俺の両手から稲妻の束が放たれた。
敵兵の前方の地面を大きくえぐる。
「ひ、ひいっ……」
敵兵たちが後ずさった。
さらに【高速詠唱】し、
「【ファイアボール・極】!」
妹のフレアが習得したばかりのスキルも、俺は学習し、さらに『極』に上げておいた。
どごぉぉぉっ!
爆音とともに、さらに地面が弾ける。
『矢』である【ファイアアロー】より、こっちの方が炸裂火力や爆破範囲が格段に大きいようだ。
そして、また【高速詠唱】からの、
「【バーストバレット・極】!」
直径10メートルはあろうかという巨大な光球が炸裂する。
ごおおおおおおおおっ……!
敵兵の前方の地面には巨大なクレーターができていた。
すべてが『極』だけあって、向こうが撃ってくる魔法とは桁違いの威力のようだ。
使徒相手のときは、相手が強すぎて『極』クラスの魔法の威力を実感しづらかった。
何発撃ちこんでも、なかなか倒せなかったからな。
けど今、こうして戦場で使ってみて実感する。
やっぱり『極』クラスの魔法スキルはすごい――。
圧倒的だ。
「こ、こんなものを食らったら一たまりもない……」
「い、いったん退却だぁぁぁっ!」
敵兵はほとんどパニック状態になり、いっせいに逃げていった。
十分、威嚇になってくれたようだ。
「す、すごいな……あらためて見ると」
ゼルスが俺を呆然と見ていた。
「討伐クエストで戦ったモンスターや、騎士団とか魔法師団で出会った人たちから強いスキルを学習してるからな。前よりも強くなってるよ、俺」
にっこり笑って説明する俺。
と、
「すごい魔法を撃つ奴がいると思ったら、あんたか」
ランバートが駆け寄ってきた。
「お、エリアルも来てたのか。頼りになる援軍ってとこだな、はは」
シャーリーも笑顔で近づいてくる。
初めての戦場だけど『希望の盾』の仲間たちに囲まれると、なんだか安心する――。