11 取得予定スキルを鑑定する
「私が【ファイアボール】を身に付ける?」
「ああ、俺のスキルで見えたんだ。お前が【ファイアボール】の取得間近だ、って」
俺はフレアに説明した。
「それって【鑑定】の効果でしょうか? 今まではそんなことできませんでしたよね?」
「ああ。俺の【スキル鑑定・極】に新しいスキル効果が生まれたらしい」
「今まで私の攻撃手段は【ファイアアロー】のみでしたけど、そこに【ファイアボール】が加われば、攻撃のバリエーションが増えますね……!」
フレアが目を輝かせる。
「もっと強くなって、もっとお兄様のお役に立ってみせます」
と、力強く宣言した。
「じゃあ、ちょっと練習してみるか」
「練習?」
「俺も一緒に行くからさ」
それは――単なる予感のようなもの。
だけど、半ば確信でもあった。
俺たちは屋敷の裏手に移動した。
荒れ地が広がった場所――ここをフレアはスキルの練習場にしているようだ。
「じゃあ、ちょっと【ファイアボール】を撃ってもらってもいいか?」
「えっ、私……【ファイアボール】は撃てませんよ? 【ファイアアロー】を撃つときに、たまたま【ファイアボール】っぽくなっただけで……」
「じゃあ、【ファイアアロー】でいい。ただ【ファイアボール】をイメージして撃つんだ」
「わ、分かりました、お兄様」
こくんとうなずき、【ファイアアロー】を放つフレア。
うーん……やっぱり『矢』の形だな。
これを『球』に変えることができれば、【ファイアボール】を習得したようなものだ。
「フレア、ちょっといいか?」
俺は彼女の手を取った。
「お兄様……?」
ヴ……ンッ。
俺の手からフレアの手に輝きが移る。
「もう一回、【ファイアボール】を撃ってみてくれ」
「は、はい……!」
フレアも何事かを感じ取ったのか、さっき以上に真剣な顔で、
「【ファイアボール】!」
そして、発動した。
巨大な火球が見事にフレアの手から放たれた。
「す、すごい……できました!}
彼女は驚いている。
一方の俺は――なんとなくコツをつかめたような気がしていた。