8 魔法師団を強化する
「来たか、エリアル」
魔法師団に行くとゼルスが待っていた。
そして、もう一人――。
「へえ、あんたがエリアル・ウィンドか」
見知らぬ青年が俺を興味深げに見ている。
ツンツンに逆立った銀色の髪と褐色の肌。
野性的ながらも整った顔立ちの青年だ。
「君は――?」
「ランバートだ。初めまして、だな。俺も『希望の盾』のメンバーさ」
彼……ランバートが名乗った。
「いちおう、この魔法師団にも籍だけは置いてある」
こいつ、魔術師なのか。
「魔法師団の人間をパワーアップさせてくれるんだろ。普段は『盾』の活動をさぼってるけど、今日くらいは来てやってもいいかな、ってな」
「自分もスキル強化してもらうつもりかもしれないが、『盾』のメンバーは後回しだぞ」
ゼルスが釘を刺した。
「後回し? なんでだよ?」
「先に騎士団と魔法師団から強化してくれって、国王陛下のお達しだ」
「ふーん……?」
ランバートがスッと目を細める。
「国防戦力が先ってことは……近々、戦争でもあるのかねぇ」
「えっ……?」
「いや、可能性の話さ。ははっ」
ランバートが笑う。
戦争――か。
だとすれば、国を守るためにも魔法師団の強化を急がないとな。
国を守る力になるのはもちろん、彼らが強くなれば、戦争自体の抑止力にだってなってくれるかもしれない。
「ふう……」
俺は騎士団のときと同じ要領で、魔法師団の上位150名のスキルをランクアップさせた。
彼らが持っていた魔法スキルは多岐にわたる。
一例を挙げると、
【ファイアバレット】
【アイスブラスト】
【ウィンドキャノン】
【ライトニングボール】
【マジックシールド】
【ルーンブースト】
【イレイザー】
【イビルサイト】
……などなど。
直接攻撃系、間接攻撃系、防御系、補助系、呪詛系なと、様々な魔法スキルが存在した。
それを一人一つずつ『最上級』にランクアップさせる作業の繰り返し――。
そう、騎士団でやったのと同じ要領だ。
「ごくろうさんだな、エリアル」
ランバートが歩み寄ってきた。
「ちょっと付き合ってもらっていいか。あんたの力に興味があってな」
「俺の力に?」