2 最強への道
俺の現在の称号は四つある。
【炎を統べる戦士】
【不屈の戦士】
【炎の闘将】
【使徒を討つ者】
そのどれかに状態異常系のスキルを無効化するものがあったんだろうか?
分からないけれど、考えるのは後だ。
今は――こいつを倒すことが先決だった。
「お前のスキルを学習させてもらう」
俺は『ギガントアイ』の【停止・上級】を学習した。
こいつは使えそうなスキルだし『極』にランクアップさせておこう。
スキルポイント10000消費は痛いけど、これから先も多くのモンスターを狩ってポイントを稼がなきゃいけないことを考えると、ここはポイントの使いどころだろう。
俺はスキルを進化させ、発動する。
「【停止・極】!」
『ギガントアイ』の動きがぴたりと止まった。
「勝負あり、だな」
剣を手に近づき、
「【旋風斬り・極】!」
風圧と刃の二連撃で『ギガントアイ』をあっさり打ち倒した。
同時に、フレアとゼルスにかけられていた【停止】が解ける。
「あ、動けるようになりました……」
フレアがにっこり笑った。
「エリアル、今のは――」
ゼルスが俺を見つめる。
「称号の力らしい。【停止】を――というか、たぶん『状態異常』全体を無効化してくれるみたいだ」
「……スキルの学習と進化に加えて、そんな力も持っているのか、君は」
ゼルスの表情が険しくなった。
「化け物じみてるな」
午後からは別の討伐クエストをこなした。
「……一日に二件もやるのか? けっこうハードじゃないか」
「多いときは五件とか十件こなしてた」
「!?」
俺の言葉にゼルスは目を丸くした。
「君、やっぱり化け物じみてるぞ……」
「いや、スキルを一気に学習して、強くなれたからな」
俺は苦笑した。
「とにかくスキルポイントをたくさん溜めるよ。で、ある程度溜まったら――」
俺はゼルスを見つめて微笑む。
「いよいよ、みんなのスキルを強化していく」
そう、そこまでたどり着いて、ようやく本番だ。
今は討伐クエストを円滑に進めるために、俺自身を優先的に強化しているけれど。
もともとの目的は俺が最強になることじゃない。
この国全体の戦力や防衛力を最強にすること――。
それが今の俺の目標だった。