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5 ラムと一緒に討伐クエスト

「へえ、討伐クエストですか」

「ラム……?」


 翌日、俺がフレアと一緒に冒険者ギルドへ行くと、昨日『希望の盾』で知り合ったラムことラムルファがいた。


「やほー、フレアちゃん」

「あ、ラムさん、こんにちは」


 フレアがぺこりと頭を下げた。


「昨日、メルファリア神殿で『スキルポイントを溜めるにはスキルを使って敵を倒せばいい』って分かったんだ。だから、当面は冒険者として討伐クエストをこなしていこうかな、って」

「なるほどでーす」


 うなずくラム。


「あ、よかったら手伝いましょうか?」

「えっ」

「あたしも加わった方が効率がいいでしょ? リスクも減らせますし~」

「まあ、それはそうだけど……いいのか?」

「えへへ、あたし、普段は暇なんでーす」


 ラムはにっこり笑った。


「王国騎士団の遊撃部隊にいるので。平時は実質フリーなんですよね。各自、トレーニング方法は任せる、って感じなので」

「遊撃部隊……」

「騎士団の中でも、ちょっと癖があったり、実力者だけど集団行動には適さないとか、そういう『はみ出し者』っぽい騎士が集まるところ。あたしは決まった時間に行動して、訓練して、っていうのが苦手で……あはは」

「……それ、騎士として作戦行動に加わるときに大変じゃないか?」

「ああ、うちの遊撃部隊はおおざっぱに言うと『味方のピンチに駆けつけて、好き勝手に戦え。敵を蹴散らせば、なんでもOK』って感じなんでーす。あたしには相性ばっちり」

「そ、そうなんだ……」

「いちおう言っておきますけど~、あたし強いですよー」


 ラムがニヤリと笑う。


「絶対足は引っ張りませんから、一緒に連れていってくださーい」


 彼女のような剣士が前衛を務めてくれれば、遠距離攻撃スキルである【ファイアアロー】主体の俺とフレアは戦いやすくなる。


 ……いや、待てよ。

 そもそもラムのスキルを学習すれば、俺が剣術のスキルを使えるようになるのか。


『一度見たスキルを学習できる』っていう説明だったけど、実際に使用しているのを見たわけじゃなく、【スキル鑑定・極】で見ただけ――っていうのでも大丈夫なんだろうか。


 そう思って、ラムが持つスキルをすべて学習する。


 ……いや、しようとした。


 ぶっぶ~!


 という音とともに、


『一日に学習できるスキルの上限は三つです』


 そんなメッセージが出た。

 ラムのスキルは四つあるから、その中から三つ選ばなければならない。


 あらためて彼女のスキルを思い浮かべる。


【斬撃・上級】

【刺突・上級】

【旋風斬り・中級】

【集中・中級】


 っていうか、【集中】はすでにフレアから学習してたな。

 じゃあ、考えるまでもなく前の三つだ。


 ぴろりろり~ん♪


 音が鳴り、俺は無事に【斬撃・上級】【刺突・上級】【旋風斬り・中級】を会得することができた。


 これで俺も剣士としての力を得た――ことになるのか?

 とはいえ、剣士としての実戦経験はないしなぁ。


 よし、やっぱり彼女の提案に乗ろう。


「いいか、フレア?」

「もちろんです!」


 俺の言葉にフレアがにっこりとうなずいた。


「じゃあ、よろしく頼むよ、ラム。そして、ようこそ――俺たちのパーティ『銀の宝玉』に」

「よろしくお願いしますね、ラムさん」

「やったー! こちらこそよろしくでーす」


 ラムが明るい笑顔で一礼したのだった。




 ラムを加えての新生『銀の宝玉』の初仕事は、C級モンスター『ビッグウルフ』の討伐だった。


「俺には敵を弱体化させるスキル【王の領域】がある。そいつを使ってモンスターの動きが鈍ったら、俺とフレアで【ファイアアロー】を撃ちこんで倒す」


『ビッグウルフ』の生息地である森林の奥に向かいながら、俺はフレアとラムに手順を説明していた。


「じゃあ、あたしはどうすればいい?」

「『ビッグウルフ』が不意打ちで襲ってきて、俺の反応が遅れることも考えられる。その場合、まずラムが『ビッグウルフ』を近接戦闘で引きつけて、その間に俺が【王の領域】を発動する」


 いちおう、いざというときには俺もラムから会得した剣術スキルを駆使して戦うつもりではある。


 といっても、本職の剣士じゃないし、基本はラムに任せたいところだ。


「なるほど……とにかく、あたしはエリアルとフレアを守ればいいわけね」

「頼めるか」

「もっちろん! 剣の腕なら自信あるからね。頼りにしていいよ~」


 その瞬間、背後でがさがさっと音が聞こえた。


 同時に矢のような勢いで巨大な狼型のモンスターが突進してくる。

『ビッグウルフ』だ。


 背後からの不意打ちで来たか――!


「おっと、二人には手を出させないよ~」


 身をすくませる俺やフレアとは対照的に、ラムは一瞬で反応し、剣を抜いて反転した。


 がしぃっ!


 強烈な突進を難なく受け止めてみせる。


「【斬撃】!」


 そして一閃。

 血しぶきを上げて後退する『ビッグウルフ』。


 よし、今だ――!


「【王の領域】」


 俺はスキルを発動した。


 この間、ゴブリンロードとの戦いで会得し、さらに進化させた俺のスキルだ。


 ぐぎぃっ!?


 たちまち『ビッグウルフ』の動きが鈍くなった。


 こっちに向かって突進するが、スローな動きすぎて、俺たちの方がずっと速い。


 ふたたび距離を取り直し、木々が密集していない場所まで誘導する。


 ……火事が怖いからな。

 やがて小さな泉に出たところで、俺とフレアは同時にスキルを発動した。


「「【ファイアアロー】!」」


 無数の炎の矢を食らい、吹っ飛ぶ『ビッグウルフ』。


 爆発するが、大半の炎は泉の表面をなぞっただけ。

 よし、火事を起こさずに倒せたぞ。

 すると、


 ぴろりろり~ん♪


 そんな音が鳴り、前方に輝くメッセージが表示された。


 お、きたか?


『スキルによる撃破スコアが一定値に達しました』

『撃破ボーナスとしてスキルポイント10000を付与します』

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乙女ゲーの没落貴族に転生 ~原作知識で領地改革&有能な人材をかき集めて、破滅フラグはまとめて叩き折る。気付けば領地は繁栄し、俺はハーレム生活を堪能していた~


― 新着の感想 ―
[気になる点] >『一日に学習できるスキルの上限は三つです』 メッセージの表示條件はなに? [一言] 読む再開です
[一言] ここてやめます。この間いくつのキミに不快させるの発言あるかもしれない、もし不快させだら本当にすいません。
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