3 スキルポイントについて
「スキルとは何か――基本的にはその人間が持っている『能力』が一種の『術』として具現化したものだ」
ゼルスが解説する。
「このスキルを定義するのは運命を司る女神『メルファリア』だと言われている。まあ、それはともかくとして――一部のスキルには、そのスキルになんらかの効果をもたらす『ポイント』が存在する。これは前述の女神『メルファリア』が与えてくれるものだ」
「急に饒舌になったな……」
「僕は自分が興味を持っていることなら、いくらでも話せる」
ゼルスが俺を見つめた。
「どうでもいいことは話したくない。めんどくさい。人間だもの」
「そ、そうなんだ……」
「話を続けるぞ。つまり君が保有するスキルポイントもおそらくメルファリアから付与されたもの。なら、ポイント付与条件はそのメルファリアに聞けばいい」
「聞くって……相手は女神様だろ?」
言って、俺はハッと気づく。
「もしかして――」
「意外と察しがいいな。そう、神託さ」
ゼルスが淡々と告げる。
「メルファリア神殿に行き、高位の司祭にでも神託をもらえばいいんだ。上手くいけば教えてもらえるだろう」
「なるほど……」
俺はゼルスの手を取った。
「俺には思いつかなかったよ。そもそもスキル関連をメルファリアが司っているという話自体知らなかったし。ありがとう!」
「べ、別に僕は自分が興味を持っている話の範囲だから教えてやっただけだ。いちいち礼を言わなくていい」
と、ゼルスは頬を赤らめた。
こいつ……もしかして照れ屋さんか?
「では、この国はメルファリアの信仰が厚いし、ちょうどいいわね。王都のメルファリア神殿に行きましょ」
ミレットが言った。
「あたしの友人がそこの高位司祭だから話を通しておくわ」
「助かるよ」
俺は礼を言った。
「じゃあ、その前に三人のスキルを鑑定させてもらってもいいか。具体的にみんなを強化する方針を立てておきたい」
と、ラム、ゼルス、シャーリーの三人を見回す。
「了解でーす」
「別にいいけど……」
「おっけーだぜ!」
三人とも了承してくれた。
――というわけで、さっそく鑑定タイムだ。
まずラムから。
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名前:ラムルファ・リード
年齢:16
クラス:剣士
スキル:【斬撃・上級】【刺突・上級】【旋風斬り・中級】【集中・中級】
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あれ? 前より項目が増えてるな。
前は『クラス』なんて項目はなかったはず。
いつの間にかスキルがバージョンアップしているんだろうか?
まあ、それはともかく……次はゼルスだ。
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名前:ゼルス・ジリア・フィールグリム
年齢:15
クラス:魔術師
スキル:【アイスブラスト・上級】【魔力探知・上級】【アイスシールド・中級】【高速詠唱・中級】
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最後はシャーリー。
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名前:シャーリー・ゼロスリー
年齢:27
クラス:武闘家
スキル:【正拳突き・上級】【耐久アップ・上級】【身体強化・中級】【格闘・中級】【投げ技・中級】【無我の境地・下級】
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さて、三人のスキルをどう強化するか――。
まずはスキルポイントをもっと得てからだな。
とりあえずの顔合わせを終え、俺とフレアはミレットと一緒にメルファリア神殿に向かうことになった。
「待て、僕も行く」
同行を申し出たのはゼルスだ。
「お前も?」
「興味がある。連れていけ。ぜひ。ぜひ」
目が爛々としていた。