17 最強の兄妹
ごうんっ!
フレアが放った大量の【フェニックスアロー】が『災厄の王』を直撃した。
「お、おのれ……」
爆炎の中から現れた『災厄の王』は体のあちこちから白煙を上げている。
ダメージを与えている!
「どうですか、お兄様。私だってお兄様の力になれます!」
「フレア……」
俺は彼女を見つめた。
フレアに、ここまでの力があったとは。
天才というやつだろうか。
あるいは――。
「これも称号の効果なのか……!?」
五つの称号によって対使徒戦、そして対災厄の王戦においても、俺やフレアには何重もの強化効果がかかり、逆に災厄の王には弱体化効果がかかっているようだ。
とはいえ、それでも簡単に勝てる相手じゃない。
だからこそ、フレアの存在は心強い。
安全な場所に避難しておいてほしい気持ちもあるにはあるけど……彼女がこの場において大きな戦力であるこてゃ間違いないからな。
そして彼女の力を借りれば、災厄の王を倒せる可能性が一気に増す――。
「……分かった。じゃあ、後ろから援護してくれ。さっきのスキルはまだ撃てるか?」
「おそらく、あと2,3回です」
フレアが言った。
「よし、全弾撃ちまくるんだ」
「全弾……ですか?」
「ああ、撃ち尽くしていい。その弾幕に乗って、俺は『災厄の王』に接近戦を挑む」
俺はフレアを見つめて言った。
「それが俺たちの最終攻撃だ。必ず奴を仕留める――」
いよいよ、決着の時だ。
「いけ、フレア!」
「はい、お兄様――【フェニックスアロー・分裂】!」
彼女が無数の炎の矢を撃ちまくり、災厄の王を押し込んでいく。
――よし、いくぞ。
【使徒を討つ者Ⅲ】
【戦場を統べる者Ⅲ】
【教え、導く者Ⅲ】
【呪縛を解く者Ⅲ】
【世界を救う者Ⅲ】
同時に、すべての称号の力が俺の中で同時に起動する。
『災厄の王との最終決戦』という状況がトリガーとなって。
「お兄様」
と、フレアが俺に抱き着いてきた。
「どうか、ご武運を……」
「ああ、最後は俺が決める」
彼女にうなずく俺。
「では――祝福を」
フレアが背伸びして、俺の唇に自分の唇を重ねてきた。
カアッ!
フレアの口づけと同時に、俺の額に五つの紋章が浮かび、一つに重なり合う。
今、五種の称号が融合し、新たな――災厄の王を打倒すべく、専用の紋章として再構成されたのだ。
その称号は――『災厄の王を討つ者』。
「お前を倒す、災厄の王」
俺は厳かに宣言した。
ばしゅんっ!
俺の手にオレンジ色に輝く光の剣が現れる。
称号の力を攻撃力に転化した魔剣。
鍔の部分は翼を模しており、柄は尾のようにも見える。
そして、刀身に描かれているのは不死鳥――。
【鳳凰剣】。
俺はその剣を握り締め、災厄の王と対峙した。
※次の投稿まで少し間が空くかも……気長にお待ちください<m(__)m>