15 出陣、最後の戦い
翌朝――。
俺は朝日を浴びながら、あらためてフレアのことを考えていた。
最愛の妹であり、今では最愛の女性となった彼女のことを。
これから先、『災厄の王』の軍団との最後の戦いが待っている。
「絶対、生き残るぞ――」
俺は決意を新たにする。
勝って、生きて、そしてフレアと幸せな日々を送るために。
負けられない理由が増えたんだ。
「お兄様」
と、背後にフレアが立っていた。
昨夜は――激しく愛し合った相手だ。
「私も一緒ですからね」
フレアが俺の側に寄り添った。
見つめ合うと、自然と唇を重ねた。
もう、以前のような躊躇はない。
兄妹ではなく、恋人同士としてのキス――。
そして、災厄の王とその使徒たちとの最終決戦が始まる――。
押し寄せる使徒の軍団。
今までが第一陣として、奴らは第二陣。
そいつらを前にして、俺の中で異変が起きた。
「これは――!」
額に熱がこもっている。
紋章の『力』が伝わってくる。
使徒と戦うための膨大な力が――。
「後は俺がやるよ」
結集した各国の対使徒部隊や【希望の盾】の面々に、俺はそう言った。
「えっ、でも……」
「一人で、って……?」
「今なら――俺一人でいけると思うんだ」
剣を抜き、残りの使徒たちに向かって進んでいく俺。
仲間たちは驚き、呆気にとられた様子だ。
けれど、それでも俺をそのまま行かせてくれたのは、俺を信じてくれているんだろうか。
「なら、俺は――その信頼に応える」
新たに得た、この力で。
第二陣の数は100以上もいるだろうか?
はっきり言って個人で立ち向かえるような数じゃない。
けれど、不思議なほど恐怖を感じなかった。
勝てる――。
そんな確信だけが心の中にあった。
「消えてもらう」
俺は右手を突き出した。
「【フェニックスアロー】!」
炎の矢を放つ。
空中でその矢は燃え上がる鳳凰へと変化し、羽ばたきながら使徒たちの中心で炸裂した。
ごうっ……!
その威力は使徒たちをすべて吹き飛ばした。
「ぐ……が……」
全員、動けない。
死んではいないものの、完全に戦闘不能だろう。
「【戻れ】」
俺が意志を込めると、すべての使徒が一瞬で人の姿になった。
【使徒を討つ者Ⅲ】
【戦場を統べる者Ⅲ】
【教え、導く者Ⅲ】
【呪縛を解く者Ⅲ】
【世界を救う者Ⅲ】
この半年の戦いで俺はすべての称号をそろえ、さらにそれぞれを最終段階まで格上げさせていた。
五つの称号の力はすさまじいの一言だ。
今みたいに使徒の軍団を一掃し、さらに人間に戻せるほどに――。
と、
「なるほど。称号をそろえ、そこまでの力を得ているのか」
上空から巨大なシルエットが降りてくる。
「お前は……!」
災厄の王――!
【読んでくださった方へのお願い】
面白かった、続きが読みたい、と感じた方はブックマークや評価で応援いただけると嬉しいです……!
評価の10ポイントはとても大きいのでぜひお願いします……!
評価の入れ方は、ページ下部にある『ポイントを入れて作者を応援しましょう!』のところにある
☆☆☆☆☆をポチっと押すことで
★★★★★になり評価されます!
未評価の方もお気軽に、ぜひよろしくお願いします~!