11 使徒との共闘
「くらえ、【レイジングブルラッシュ】!」
奴のスキルが発動した。
その名の通り、怒れる猛牛の突進――。
「ここは俺が!」
ランバートが前に出た。
正面から奴の突進を受け止める。
「さすがにパワーがあるな、エシュディオル! だが!」
いったんは受け止めたランバートも、さらに押し込まれ、やがて吹き飛ばされる――。
「ナイス足止め!」
その間に、俺はヅェルガスの背後に回り込んでいた。
「今、お前を人間に戻してやる!」
俺は剣を叩きつけた。
がきんっ!
鈍い音を立てて、剣が半ばから折れてしまう。
「くっ……!?」
「……ふん、俺を人間に戻すだと? 片腹痛いわ!」
ヅェルガスはランバートを強引に振り払い、体を反転させた。
ぐんっ!
その勢いのまま長大な角を突き出してくる。
俺は慌てて飛び下がった。
避けきれずに胸元が大きく切り裂かれていた。
「っ……!」
かすっただけで、かなり深い傷になっていた。
血があふれ、鋭い痛みが意識が揺らぐ。
俺は治癒系のスキルで傷口を塞いだ。
「……ふう」
とりあえず応急処置はできたけど、本格的な治癒は敵を目の前にしている状況では無理だ。
「どうした? その程度の力しかないのか?」
ヅェルガスが鼻で笑った。
「王が警戒するからどれほどの男かと思ったが……お前など恐れるに足らず。ここでこの俺が討ち取ってくれよう」
ざっ、ざっ……と後ろ足で地面を蹴りつけながら、ヅェルガスが前傾姿勢を取った。
突進の構え――。
「さあ、終わりだ!」
次の瞬間、すさまじいスピードでヅェルガスが突っこんでくる。
「まだだ!」
俺は右手を突き出した。
「【フェニックスアロー】!」
炎の矢を放つ。
空中でその矢は燃え上がる鳳凰へと変化し、羽ばたきながらヅェルガスに炸裂した。
「ぐっ……!」
その勢いで後ずさる猛牛。
「おおおおおおおおおおおっ……!」
俺は奴の体勢が崩れた瞬間を逃さず、突っこんだ。
「これで――!」
繰り出した斬撃がヅェルガスを切り裂く。
「う、ぐぐぐぐぐ……」
次の瞬間、奴の巨体が光に包まれ、ゆっくりと人間の姿に戻っていく――。
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