9 戦う相手は
「戦わなきゃ、もっと大勢の人が苦しむ……殺される……だったら――」
俺はふたたび駆けだした。
たとえ相手が元人間でも……。
使徒の姿が、人間のそれに重なる。
こいつも元はただの人間だった――。
本当に人間を倒して……殺していいのか……!?
こみ上げる疑念を無理やり押し殺し、俺は走った。
「おおおおおっ……!」
剣を手に、使徒に斬りかかる。
ヴンッ!
俺の周囲に光があふれる。
「これは……!?」
三つの、紋章。
それが俺の前後左右に浮かんでいた。
もしかして俺が持つ称号と関係があるのか!?
【使徒を討つ者Ⅱ】
【戦場を統べる者】
【教え、導く者】
これらは指定称号と呼ばれている……らしい。
残る二つの指定称号を得ることで、俺はEX称号である【災厄の王を討つ者】を得ることができる……らしい。
さっきから『らしい』がつく不確定情報ばっかりだけど、とにかく今後の戦いにおいて称号をそろえることが重要になるのは間違いない。
「三つの称号を持っているのか、こいつ――」
「馬鹿な!? 史上そんな人間は一人も――」
「落ち着け、情報通りだろう!」
「そう言われても、実際に見ると――」
使徒たちがやけにうろたえている。
たぶん、この三つの紋章は俺が四種の称号持ちであることを表しているんだろう。
「あと二つそろえば、王を討つ者に成長する――」
「馬鹿な、あり得ぬ……たかが人間が……」
使徒たちはますますうろたえているみたいだ。
俺の方は今の言葉の中に気になるフレーズを見つけ、ハッとしていた。
『あと二つそろえば』
『王を討つ者に成長する』
彼らは確かにそう言った。
王というのは、たぶん『災厄の王』のことだろう。
だとすれば、やっぱり五つ目の称号をそろえたとき、俺は『災厄の王』を討てるだけの存在になっている、ということだろう。
「うおおおおおっ……!」
俺は剣を振り下ろした。
二体の使徒をまとめて両断する。
死んだ。
使徒を殺した。
人間を、殺した。
『使徒討伐数が規定値に到達しました』
『エリアル・ウィンドに【呪縛を解く者】の称号を授けます』
『なお、これによって五つの指定称号のうちの四つを獲得しました。残り一つを得ることでEX称号【災厄の王を討つ者】の称号を得られます』
「えっ……?」
ヴ……ンッ。
使徒の死体が突然光に包まれた。
同時に、その姿が人間へと変わる。
「変わった……? いや、戻ったのか……?」
今までとは、違う。
俺が使徒を倒すと、その使徒が人間に戻る――。
もしかして、これが四つ目の称号の効果なのか……?
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