8 急襲
「大丈夫だ。ここは――世界最強の軍が守ってるんだ」
俺は周囲を見回した。
「騎士団と魔法師団のみなさん、よろしくお願いします!」
背後にはティルトから派遣された、それぞれ一千の騎士団と三百の魔法師団。
もちろん、全員が俺の【鑑定】によってスキルを底上げされている。
「し、使徒が相手か……」
「大丈夫! そのために、みなさん強くなったんですよ!」
中には不安げな者もいるけど、俺はそう言って元気づけた。
「そうだな……エリアル殿に強くしてもらったんだ」
「俺たちだってやれる……やれるぞ」
「よし、全軍突撃!」
「魔法師団、魔法で援護!」
騎士団と魔法師団が連携して使徒に挑んでいく。
「よし、俺たちも行こう」
と、俺は『希望の盾』のメンバーに声をかけた。
「……なんだかティルトだけで相手をするような雰囲気になってないか?」
ゼルスは不満げだった。
「あたしたちの力をアピールするチャンスでーす」
とラム。
「ティルトは小国なんだから。こういうときに『この国は強いぞ』って見せつけないとね」
「今後の外交にもかかわってくるだろ」
シャーリーとランバートが言った。
「それは分かっている。ただ、なんとなく気に食わなかっただけだ」
と、ゼルス。
「とにかく、俺たちで先陣を切ろう。いくぞ」
俺が言うと、全員が力強くうなずいてくれた。
俺は剣を手に、縦横に戦場を駆けた。
前方に、二体の使徒が見える。
そいつらをまとめて斬り伏せようと剣を振りかぶり――、
「っ……!」
ランバートから聞いた話を思い出す。
使徒は、元人間だった。
なら、目の前にいるこいつらも――。
ごうっ!
ずがあっ!
だけど俺が迷っているうちに、使徒たちが次々に火炎や雷撃、衝撃波などを放ち、周囲を破壊していった。
「くっ……!」
あちこちから悲鳴が聞こえてくる。
どうする……。
心の中が焦りと不安、そして恐怖で埋め尽くされていく。
俺はどうすればいいんだ……!?
「――戦わなきゃ」
心に浮かんだのは、最愛の妹の顔だった。
そうだ、使徒を放置すれば大勢の人が傷つけられ、殺される。
最初から、迷う余地なんてないんだ。
なのに俺は立ち止まったりして――。
「これ以上は立ち止まらない……俺は戦う!」
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