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6 俺がいる場所


 一週間にわたる合同演習を終え、俺は自宅に戻った。


 時間はすでに夜だ。


「【教え、導く者】ですか……」


 俺の話を聞いたフレアがつぶやいた。


「お兄様のスキルがどんどんすごくなっていきますね」

「単なる鑑定能力じゃなくなってきてるな……」


 フレアの話にうなずく俺。


「ところで」


 フレアが俺に向き直った。


「一週間も会えなくて、私……すごーーーーーーーーっく寂しかったのですが!」

「お、おう」

「ぎゅってしてください。ぎゅーーーーーーーーーって」

「だ、抱きしめろってことだよな?」

「あら、それ以上のことをお望みですか?」


 フレアが妖しく微笑む。


 そういえば、この前もいきなりキスされたよな……唇に。


 背筋がゾクリとした。


 い、いや、落ち着け、俺。


 フレアは妹だ。


 血がつながっていないとか、そういう問題じゃない。


「いいか、俺たちは兄妹だ。清い関係を心掛けるぞ」

「お兄様が望むなら、もちろんです」


 フレアが力強くうなずいた。


 お、予想より素直だな。


「で、で、でもっ……もしお兄様がもっといろいろなことを望まれるなら、私もがんばっちゃいます……! お兄様が相手なら、私……私……ハアハア」


 息荒いぞ、フレア。


「まあ、それはそうとして――」


 フレアは唐突に話題を変えた。


「これから先、お兄様は各国から引っ張りだこになりますね、きっと」

「えっ」

「だってそうでしょう? たった一人の人間が、騎士団や魔法師団を全体的に底上げできるんですから。どの国だってお兄様の能力を欲しがりますよ」

「そっか……そうかも」

「たぶん大国からの引き抜きなんかも出てくると思います。もっと高給で雇うとか、そういうのが」

「ありそうだな……」


 正直、フレアに指摘されるまで考えてなかった。


 けれど、確かに起こりうる未来だ。


「そうなったとき、お兄様はどうしますか? 他の国に行きますか?」


 フレアが俺を見つめた。




 もし俺に大国からの引き抜きが来た場合、どうするのか――。


 フレアの問いに俺は思案した。


 もともと俺は父上に無能と見放され、追放された身だ。


 行くあてのなかったところをティルトに拾われた。


 だから、この国には大きな恩義を感じている。


 ティルトは――はっきり言って小国だ。


 けれど、俺にとっては仮に大国からの誘いがあっても、ティルトで働くことの方がずっと魅力がある。


 だから、


「行かない」


 俺は即答した。


「ティルトが気に入ってるからな」

「……そうですか」


 うなずくフレア。


「もしかして他国に行きたかったのか?」

「いえ、私もティルトが気に入っています。みんな温かいですし、住み心地もいいですし、ご飯も美味しいですし」

「だよな」

「ただ、お兄様が大国に引き抜かれて、世界にその名を轟かせるところは見てみたいです」

「フレア?」

「お兄様は本当にすごい方ですから。世界中がそれを認めるようになったら、私は嬉しいです」

「俺は――別に自分をすごいとは思ってない」


 苦笑交じりに答える俺。


「仮に俺がすごいのだとしても、別に世界中に認めてほしいとは思わないよ。ただ周りの人たちの役に立てるなら、力を尽くしたい。それだけだ」

「謙虚ですね……」


 フレアが俺を見つめ、微笑んだ。


「そんなお兄様が、私は好きです」

「はは。俺もフレアが好きだよ」

「っ……!」


 フレアの顔が赤らんだ。


「す、すすすすすすす好き!? お兄様が私を! や、やった、これは両想い――」

「大切な妹だからな。当たり前だろ」

「あ……妹として、ですか」

「??? いや、当たり前だろ」


 がくっと落ち込んだフレアに、俺は苦笑した。


「俺の居場所はこのティルト王国で、フレアが一緒にいてくれる家だよ」


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乙女ゲーの没落貴族に転生 ~原作知識で領地改革&有能な人材をかき集めて、破滅フラグはまとめて叩き折る。気付けば領地は繁栄し、俺はハーレム生活を堪能していた~


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