4 兄妹と恋人の狭間
うーん、いくら血がつながっていないとはいえ、兄妹でこういうのはあまり良くないよな。
分かってるんだけど、最近のフレアはやけに妖しい魅力を振りまいていて、俺も抗えなくなってきた。
――まさか。
妹と『そういう関係』になったりしないよな、俺……。
ふとこみ上げた疑問に、全身がゾクリとした。
「フレア、兄妹でこういうのは、その」
「いけませんか?」
フレアが俺を見つめる。
「私、お兄様以外の人にはしませんよ」
「いや、恋人ができれば、してあげればいいんじゃないか?」
「では、お兄様が私の恋人になってください」
「あのな」
「私、本気ですよ」
「フレア……?」
「ちょっとずつでいいので考えてもらえませんか? 私たちは……血がつながっているわけじゃないんでしょう?」
「っ……!」
「もう分かってますからね」
フレアが俺に迫る。
こいつ、知ってるのか……?
それともカマをかけているだけだろうか。
どっちにしても、迂闊なことを言って墓穴を掘るわけにはいかない。
「俺たちは――兄妹だ。たとえ何があっても」
俺は無難な答えを返すにとどまった。
「お兄様……」
「だからフレアも、さっきみたいなことはよすんだ。いいな?」
「むむ……」
めちゃくちゃ不満そうだ。
「で、では、せめて頬にキスしてもいいですか?」
「えっ?」
「頬なら挨拶! セーフ!」
フレアは両手を大きく広げ、セーフのジェスチャーをする。
「ま、まあ、頬ならいいか……」
「じ、じゃあ、ちょっと手元……いえ、口元が滑って頬から唇に滑っていっても、セーフ」
「いや、それ意図的に口にキスしようとしてるような?」
「あくまでもアクシデントです! セーフ!」
「それはアウト」
「セーフ、セーフ!」
フレアは必死でジェスチャーしていた。
「ま、まあ、そこまで言うなら……」
「やったー! ちゅー……」
「い、いや、ほっぺだからな、ほっぺ!」
「おっと、口元が滑りました!」
「だから、それ意図的だろ!」
などと俺とフレアはしばらくの間、頬と唇のどちらにキスをするかの格闘を続け――、
ちゅっ。
……なんとか頬へのキスで許してもらった。
「うう……お兄様ったら、照れ屋さんですね」
「照れてるんじゃないから」
「ふふ、唇へはいずれ……私はいつでもOKですから」
フレアはにっこりと笑う。
「とにかく、俺たちは兄妹だ。もう一回、念押ししておくぞ。恋人同士じゃないから」
「うう……いいですよ、今はそれでも……」
とたんにフレアが拗ねたような顔をする。
いや、拗ねる要素ないだろ、今の会話。
「私、そろそろお休みします」
フレアはため息交じりに言った。
「また明日……」
「ああ」
「あの、お兄様」
去り際にフレアが俺を見つめる。
「愛しています」
「俺もだよ、フレアは愛する妹だ」
にっこり笑う俺。
「……おやすみなさい」
言うなり、フレアは逃げるように去っていった。
後に残された俺は、そっと自分の唇を指でなぞった。
さっき妹の唇が触れたそこは、まだ甘い火照りが残っていた……。
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