3 国力がどんどん上がっていく
「今日は恒例のスキルアップを行います」
俺は集まった騎士団と魔法兵団の人たちを前に言った。
俺のスキルポイントはかなり溜まっている。
一定の数字ごとに騎士団や魔法師団の人たちのスキルを引き上げ、全体の戦力アップを図ってるんだけど、その試みも今回で五回目だ。
すでに騎士団や魔法師団の八割くらいの人たちは得意としているスキルレベルが上昇している。
全体として見ても、かなりの戦力アップだと思う。
小国ながら、大国と渡り合える――いや跳ね返せるくらいの兵力になってるんじゃないかな。
たとえ理不尽な侵略行為を受けたとしても、今の騎士団や魔法師団なら十分に立ち向かえる。
「エリアル殿、あなたのおかげで近いうちに我が騎士団の全員が、あなたからのスキルアップの恩恵を受けられます」
「我が魔法師団も同じです。多大な貢献、本当に痛み入ります」
騎士団長と魔法師団長がそれぞれ俺に頭を下げた。
「いえ、俺もティルトの一員としてできることをしているだけなので……」
ちょっと照れてしまった。
「全員の得意スキルのレベアップが終わったら、次は二番目、三番目……とどんどん強化していきたいです」
俺は騎士団長や魔法師団長に言った。
「みんなが平和に暮らしていくために、そうやって国を守る力を高めることも重要かな、って」
「綺麗ごとだけでは国は守れませんからね。強い力を持つことは大切です」
と、騎士団長。
「そのうえで――力の使い方を誤らないようにする」
「ですね」
と、うなずく魔法師団長。
まずは力を付けなければ。
他国からこの国を守るために。
そして、あるいは――。
いずれ来たる『災厄の王』の軍団から、この国を守るために。
たぶん、そのときには『希望の盾』だけでは戦力が足りないだろうから。
みんなの力を合わせる必要があるだろう。
「ふう、今日はいっぱい働いたぞ」
スキルアップ作業を一通り終えて、俺は帰宅した。
「おつかれさまです、お兄様」
フレアがいつものように出迎えてくれた。
「いつもティルトの国力増強に貢献されて……お兄様はこの国の英雄です」
「いやいや」
いつも通りに持ち上げられた。
「あ、そうだ。がんばったお兄様にご褒美を差し上げますね」
「ご褒美?」
お、何をくれるんだろう?
「え、えーっと……目を閉じていただけますか?」
「こうか?」
言われたとおりに目を閉じる俺。
すると、ゆっくりと息遣いが近づいてきた。
これってフレアの息遣いだよな?
もしかして顔を近づけてる……?
「な、なあ、フレア、何をする気――んんっ!?」
たずねようとしたところで、俺の唇を柔らかな感触が塞いだ。
「……ふう」
一瞬だったけど触れ合った唇を離すフレア。
妹の顔は上気していて、やけに色っぽく見える。
これで口と口でキスしたのは二回目か……。
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