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13 VSクランヅェーリ2


「【使徒の祝福】――上位の使徒だけが授かったスキルだ」


 黄金のオーラに包まれたクランヅェーリが笑った。


「お前のデバフスキルの効果は、この【使徒の祝福】の前では無効化される」

「デバフ無効――!」


 おそらく、正確には【状態異常】無効化のようなスキルなんだろう。


 奴の前には、あらゆるデバフや特殊ダメージ系のスキルなどは通用しない、ということか……!?


「それなら――」


 正攻法で、正面から打ち破る。


 俺はあらためて剣を手に突進した。

【三段突き】や【唐竹割り】など、極クラスの剣術スキルを連打する。

 だが、


「無駄無駄ぁっ!」


 クランヅェーリが触手を繰り出し、俺の剣を跳ね返した。


「ちいっ……」


 舌打ち交じりに後退する俺。


 いくら『極』クラスの剣術スキルとはいえ、奴は基本能力が高すぎる。


 特に触手の攻撃は変幻自在で、しかも体表が剣よりも堅い。


 俺の剣は何カ所か刃こぼれしていた。


「諦めろ、人間よ。いくらお前に優れたスキルがあろうと、しょせんは人間――」


 クランヅェーリが勝ち誇る。


「我ら使徒はその人間の領域を超えた存在なのだ。お前では勝てぬ」

「だけど――」


 俺はそれでも諦めずに突っこんだ。


「ほう。力の差を分かっても、なお逃げないのか?」

「俺一人なら逃げ出していたかもな。でも――」


 仲間を守るために。


「そのために俺は剣を振る!」

「殊勝な心掛けだ。褒美に――殺してやる!」


 クランヅェーリの触手の何本かがうねり、その先端が鋭く尖った。


「串刺しの刑だ。くはははは!」


 哄笑が響き渡る。


 ざしゅううううううっ!


 次の瞬間、それらの触手の先端がまとめて吹き飛んだ。

 横合いから飛んできた、赤い槍によって。


「これは――魔槍ジュライゼル!?」


 ランバートが放った槍だった。


 その威力はさすがの一言。

 クランヅェーリの触手をも貫通する――。


「裏切る気か、エシュディオル!」


 クランヅェーリが怒声を上げた。


「こいつの戦いぶりを見ていたら、賭けてみたくなったんだ」


 ランバートはその怒声を淡々とした態度で受け止めている。


「俺は王に服従するしかないと思っていた。けれど、こいつが一緒なら……別の運命を歩めるかもしれない、と。そんな気にさせてくれる」

「ランバート……?」


 どういう意味だ、と訝しむ俺。


 とはいえ、今は詳しく聞いていられる状況じゃない。

 ランバートが味方になってくれたなら……後は、いつも通り使徒を討つだけだ。


「【フェニックスアロー】!」


 鳳凰の形をした火炎を浴びせかける。


「ちっ……!」


 水色の使徒は大きく跳び下がった。


「我ら使徒は『災厄の王』の元でしか生きられん! 知っているはずだろう!」

「……そうとは限らない」


 ランバートがうめいた。


「俺はその破滅の運命から逃れたいんだ」

「無理だな」


 クランヅェーリが首を振る。


「王は、お前が思っているよりも――はるかに強大な存在だ。従わなければ破滅あるのみ」

「…………」

「お前のことは王に報告させてもらうぞ」


 去っていくクランヅェーリ。


 空間に溶け消えるように、使徒の姿はその場からなくなった。


 後に残されたのは、俺たちだけだった。




 シーンと沈黙が流れる。

 重苦しい沈黙だった。


 ランバートはうつむき、何事かを考えているようだ。


 俺は静かに待った。


 彼の考えがまとまるまで。


 やがて、ランバートがゆっくりと顔を上げる。


「ランバート……」

「……少し話をさせてくれ」


 彼は大きく息をついた。


「災厄の王と使徒、そして魔術結社『黄金連鎖』――俺がかつて所属した場所の話を」

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乙女ゲーの没落貴族に転生 ~原作知識で領地改革&有能な人材をかき集めて、破滅フラグはまとめて叩き折る。気付けば領地は繁栄し、俺はハーレム生活を堪能していた~


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