11 俺の決意
「【ライトニングブレード】!」
俺は雷撃の刃を生み出し、クランヅェーリの触手を切断した。
もちろんこれも極クラスの魔法である。
自由を取り戻した俺はクランヅェーリから距離を取りつつ、ゼルスの傍まで合流する。
これで俺とゼルス、ランバートとクランヅェーリの『二対二』の構図ができたわけだが……。
「ランバート……お前が使徒だったなんてね」
ゼルスは怒りの表情だ。
「僕らの組織に潜りこみ、仲間を装って……卑劣な奴だ」
「はは、返す言葉もねーな」
ランバートは肩をすくめた。
「……何か事情があるんじゃないのか?」
俺はランバートにたずねた。
「本当は自分の意志じゃない。何か事情があって、俺たちを裏切った……そうじゃないのか?」
それは俺の願望だった。
「甘いねぇ」
ランバートがまた肩をすくめる。
「この期に及んで、まだ俺を信じようとしてるのか?」
「信じようとしてるんじゃない。信じたいんだ」
俺は首を左右に振った。
「仲間だろ」
「俺はただ……生き残りたいだけさ」
ランバートが小さく笑った。
どこか自嘲を感じさせる笑みだった。
「王に逆らうってのは、使徒にとって死を意味する。必ず殺されるだろう。俺は死ぬのが怖い。だから王に従う」
ランバートが俺を見つめる。
「自分の意志なんて関係ない。自分がどうしたいかなんて気持ちは介在する余地がない」
「……そっか」
俺は小さくため息をついた。
「じゃあ、やっぱりランバートは本心から裏切りたいわけじゃないんだ」
「えっ……」
「『自分の意志』『自分がどうしたいか』……そんな言葉が出るってことは、ランバートの意志はねじ曲げられてるんだろ? 災厄の王に無理やり従わされてるだけ……そうじゃなきゃ、今みたいな台詞は出てこない」
「だから、なんだっていうんだ」
ランバートが首を左右に振った。
苦しげな表情で。
「俺が王に逆らえない事実は変わらない」
「変わるよ」
俺は力を込めて言った。
「俺がランバートを――災厄の王から解き放つ。やってみせる……!」