表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

110/133

10 決断


「俺が、こいつにトドメを――」


 ランバートはうつむき、動きを止めている。

 もともと彼との会話で注意を引き付けられ、隙ができたために、俺は別の使徒に拘束された。


 つまりランバートもグルだったわけだ。


 けれど、今の彼は――何か様子がおかしい。

 まるで俺を陥れたことを後悔しているように。


 彼の本心が――見えない。


「どうした? 今が絶好の機会であろう。私とて長くは持たんぞ――」


 と、クランヅェーリが苛立ったように言った。


「この……っ!」


 俺は攻撃系のスキルを発動し、なんとか触手を焼き切ろうとするが、なかなか頑丈だ。


「早くしろ、エシュディオル! お前も『災厄の王の使徒』なら王命を果たせ!」

「そうだな」


 ランバートの右腕がぐにゃりと歪み、剣の形に変形した。


「首を刎ねる」

「っ……!」


 ゾッと血の気が引いた。


 命の危機に対してもそうだが、何よりも――。

 仲間だと思っていた者に殺されそうになっている、その事実が。


 何よりも絶望的で、悲しかった。


「ランバート……本当に、お前は」

「悪いな。俺は王の使徒。いや、魔術結社に関係する人間は、みんなそうだ。逆らえねぇのさ……」


 ランバートの顔は悲しげだった。


「さあ、終わりだ――」


 と、腕の剣を振り上げる。


 どうする……?


 俺は迷った。

 強力なスキルを放てば、ランバートを吹き飛ばせるだろう。


 けれど、今のランバートは人間じゃなく、使徒形態なんだ。

 生半可なスキルは通じない。


 やるなら、最大威力の一撃――。

 力加減を間違えば、彼を殺しかねない。


「俺を撃つか、エリアル?」


 ランバートが言った。

 静かな声音で。


「俺は――」


 答えが、見つからない。


「【アイスブラスト】!」


 そのとき、横合いから氷魔法が放たれた。


「何……!?」


 不意を突かれたランバートはまともに食らい、大きく吹き飛ばされる。


「今のは――」

「僕を忘れるなよ、君たち」


 そこに立っていたのは、魔術師の少年――。


「ゼルス!」


 値千金の一撃だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↑の☆☆☆☆☆評価欄↑をポチっと押して
★★★★★にしていただけると作者への応援となります!


▼新作です! こちらもよろしくです~!▼
乙女ゲーの没落貴族に転生 ~原作知識で領地改革&有能な人材をかき集めて、破滅フラグはまとめて叩き折る。気付けば領地は繁栄し、俺はハーレム生活を堪能していた~


― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ