6 『災厄の王』とは2
「俺たちは『災厄の王』によって『力』を授かった。そして『使徒』になった――」
「えっ……?」
俺は息を飲んだ。
どういう意味だ?
『使徒』っていうのは『災厄の王』が生み出した配下であり、化け物――。
それが俺の認識だった。
けれど、ランバートの話では、まるで――。
「元人間……?」
「ああ」
ランバートは忌々しげにうなずく。
「使徒はすべて――『災厄の王』に選ばれた人間が『力』をもらい、魔物へと進化した存在さ」
「元人間……」
俺はショックを受けていた。
じゃあ、今まで戦った奴らはもともと人間だったっていうのか……?
そしてランバートも――。
『災厄の王』から『力』を授かって、使徒と化した……!?
「言っておくが、別に不満はねーぜ」
ランバートが平然とした表情で告げる。
「俺たちは自分の意志で『力』を受け入れた。そもそも、自分の意志に反して『力』を受け取ることはできないらしいからな。そういう術式だって王は言っていた」
「今まで仲間として接してきて……急に態度を変えたのはどうしてなんだ」
俺は油断なく身構えた。
ランバートは飄々とした態度ながら、殺気をにじませている。
いつ不意打ちしてこないとも限らない。
あるいは――。
「簡単だ。王命だよ」
告げるランバート。
「王の、地上への大侵攻が始まるのさ」
「地上への……大侵攻?」
俺はゾッとなった。
一体でも強力無比な使徒が数十あるいは数百という数で進軍してこられたら。
いや、彼らの軍勢はもしかしたら数千かもしれないし、数万かもしれない。
そうなったら――。
「人類は、終わる」
ランバートが淡々と告げた。