4 ランバートとの訓練2
「さあ、いくぞ」
ランバートが構える。
ボウッ!
その全身が魔力のオーラに包まれた。
「……えっ?」
ランバートってこんなに魔力が高かったっけ?
熟練した技術や経験で戦うタイプだって、魔力の高さで圧倒するタイプではなかったはずだが――。
今日の彼からは違和感を覚える。
まるで別人のような……。
「エリアル、お前はいい奴だよな」
「えっ」
突然、そんなふうに評価されて俺は戸惑ってしまう。
「最初に会った時に思ったよ。いい友達になれそうだって。実際、出会ってから日は浅いけど、俺はお前を友人だと思ってる」
「それはどうも」
俺からしてもランバートは話しやすいし、いい友人のなれそうな存在だと思う。
「けど――やっぱりなれないな」
「えっ」
「残念だよ。状況が変わったんだ」
つぶやくランバート。
一体、何を言って――?
戸惑う俺の前で、突然――周囲にすさまじい衝撃波が吹き荒れた。
「が……は……っ!?」
ゼルスが一撃で吹き飛び、倒れる。
「ランバート!?」
そう、今のは彼の仕業だ。
いきなり魔力の衝撃波を放ったのだ。
しかも今のは呪文詠唱をまったくしていない。
詠唱破棄でこんな威力を出せるのか――!
「仲間ごっこはおしまいだ」
爆風の向こうからランバートが歩いてくる。
その姿が、変化していた。
「お前まさか――」
俺はハッとなった。
馬鹿な。
こんな場所に『奴ら』がいるのか。
ランバートと入れ替わったのか?
それとも――。
「入れ替わり、とかじゃないぜ」
俺の内心の驚愕を読み取ったかのように、ランバートはニヤリと笑う。
「ずっと前から俺は、俺だ」
その全身から立ち上る魔力が、さらに膨れ上がる。
「使徒としての名は『エシュディオル』。お前を――殺しに来た」