1 追放された俺は【スキル鑑定・極】に目覚める
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「エリアル、お前を我が家から追放する」
父、ウィンド伯爵の宣告に、俺――エリアル・ウィンドは『ついに来たか』と諦めの境地だった。
「追放理由は――言わなくても分かるな」
「私が無能だからです、父上」
俺はため息交じりに言った。
古王国エルメダを支える重臣であり、名門貴族であるウィンド家――。
歴代当主はいずれも強力なスキルを持ち、エルメダを支えたという。
だが、長男である俺が生まれ持ったスキルは――。
【スキル鑑定・最下級】。
そう、最下級だ。
スキルが弱い平民でさえ、下級や中級がほとんどである。
最下級なんていうのは、十万人に一人とか、そういうレベルだった。
そんな無能な俺がウィンド家を継げるはずもない。
父もそう考えていたのか、俺は子どものころから露骨に虐げられてきた。
食事を抜かれたり、寒い部屋に放置されたり……今思えば虐待のような日々。
まるで……俺を憎んでいるかのような仕打ちを受けてきた。
その後に生まれた弟のハリーや妹のフレアのことは大切に育てていたことを考えると、俺に対しては失望しか抱いていなかったんだろう。
で、予想通りの追放だ。
俺を家から追放すれば、次期当主候補も俺から弟のハリーへ――ウィンド家の次男へと移る。
彼は俺と違って上級スキルの持ち主だから、いずれは父から当主を受け継ぎ、立派に務めあげるだろう。
俺さえ、この家からいなくなればいい。
「今まで育てていただき、ありがとうございました。父上」
「いいから、さっさと行け。お前のような『失敗作』は要らん。しっしっ」
父上は邪険に言い放った。
最後の別れくらいは、もう少し心を通わせたかったけど――無理か。
「失礼します」
俺は失意のまま、実家を去った。
俺はとぼとぼと街道を歩いていた。
「なんで俺のスキルは最下級なんだろうな……ウィンド家の優秀な血は、俺には遺伝しなかったのか……はあ」
なんの気なしにスキルを発動させた。
その対象は――俺だ。
俺は自分自身のスキルを鑑定することもできるのだった。
といっても、表示された結果は【スキル鑑定・最下級】。
「最下級……だよな、やっぱり。分かってるんだけどさ」
はあああああああああああああああああっ。
俺は特大のため息をついた。
これが最上級スキルだったらいいのになぁ、などと夢想したのは、一度や二度じゃない。
と、
ぴろりろり~~~~~~~~~~~~ん♪
突然高らかな音色がどこからともなく響いた。
続いて、前方に光があふれだす。
『鑑定対象者:エリアル・ウィンド』
『対象スキル:【スキル鑑定・最下級】』
『所持スキルポイント:10000(初回ボーナス)』
空中にそんな文字の羅列が浮かんだ。
テキストメッセージ――!
「なんだよ、これ……?」
今までスキルを発動したときに、こんな表示が出たことはなかったぞ。
『スキルポイントを使用し、スキルを進化させることができます』
『必要スキルポイント:下級100 中級500 上級1000 最上級3000 極10000』
なんだよ、おい――。
スキルを進化……?
「まさか――」
どくん、と心臓が早鐘を打った。
つまり、これは。
「俺のスキルを進化させられる、ってことなのか……!?」
俺はもう一度表示を見た。
そして、考えを整理する。
1.スキルポイントを使うと対象スキルを進化させられる。
2.俺が所持しているポイントは初回ボーナスとやらで「10000」。
3.10000ポイントをすべて使えば、スキルは「極」というランクまで進化できる。
よし、整理終了。
「――って、なんだよ、それぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
俺は思わず叫んでいた。
「スキルランク『極』って!? そんなの聞いたことないぞ――」
通常、スキルは最下級、下級、中級、上級、最上級の五つに分かれている。
最上級ともなれば、世界中で使い手が何人いるか……というくらいレアなものだ。
で、この説明文から推測すると、たぶん『極』は最上級のさらに上――。
「一度だけ進化できます、か」
一度しか使えないなら、よく考えた方がいい。
そう思いつつも、俺は好奇心を抑えられなかった。
ええーい、使っちゃえ!
子どものころから見切り発車が多かった俺は、勢いのまま、スキルポイントの全てを自分自身のスキルを進化させることに注ぎこんだ。
ぴろん♪
ぴろん♪
ぴろぴろぴ~~~ぴろりろり~~~~~~ん♪
先ほど以上に高らかで派手派手しい音が響き渡る。
お、また新しいメッセージが表示されたぞ。
『スキルポイント10000を使用しました』
『【スキル鑑定・最下級】は【スキル鑑定・極】に進化しました』
『スキル進化の回数が「一度きり」から「無限」に変わりました』
『進化ボーナスとして、スキルポイント10000が付与されました』
『以降、スキルポイントは特定の条件をこなすたびに追加で付与されます』
「こ、これって、もしかして……ひょっとして……すごいスキルじゃないのかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
うん、きっとそうだ!
他人のスキルを進化させるスキルなんて聞いたことがない。
ランクが『極』になっているスキルなんて聞いたことがない。
「……帰ろう」
父上の追放命令には背くことになるけど、関係ない。
今の俺が戻れば、父上だってきっと喜んでくれる。
ウィンド家を継ぐ資格がある、って褒めてくれるはずだ。
そう、生まれて初めて――俺は父上に褒めてもらうんだ!
息せき切って、俺は実家の屋敷に戻ってきた。
執事や下僕、メイドたちが驚いていたが、あまり応対している暇がなく、俺は一気に父上のいる部屋へと向かった。
ちょうどロビーで家族全員が団らんしているところだったらしく、俺はそこに向かった。
「父上、母上、私は――」
皆の前に出たたところで、俺は固まった。
冷たい視線だった。
なんだ、これは――?
誰一人、嬉しそうな顔をしていない。
冷ややかな空気に俺はそれ以上、何も言えなかった。
俺は……明らかに歓迎されていなかった。
「ちっ、本当の子どもではないのだから、戻ってこなければいいものを」
「あんな男に当主の座を渡してなるものですか」
父と母がヒソヒソと話している。
俺の母――つまり父の前妻だ――は、どうも別の男との間に俺を設けたようだった。
俺は――父の実の子ではなかった……!?
驚きだった。
では、なぜ今まで俺をこの家に置いてくれたのか?
おそらく、世間体だろう。
前妻の不義を知られないため、俺をこの家に置き、頃合いを見て追放した――。
俺のスキルが最下級だったのは、父にとって格好の追放理由だったし、幸運だったんだろう。
だけど、俺はスキルを成長させることができた。
今の俺ならウィンド家の当主にふさわしいと言える。
なにせスキルレベル『極』だからな。
「……この家は、俺の居場所じゃなかったんだな。最初から」
俺はため息をついた。
「どうした? 私はお前を追放したのだぞ、エリアル」
父の視線は冷たかった。
それは性格的なものかと思っていたけど、今ようやく理解した。
父が俺に向ける視線は――親子のそれではなく。
どうでもいい他人に向ける視線そのものだったのだ。
「……はい、忘れ物をしてしまいまして。ですが、それも無事に手に入れられました。今度こそ出て行きます、父上」
俺は父上に一礼した。
俺はこの人たちに家族だと認めてもらえなかった。
けれど、今日まで育ててもらった恩は忘れない。
胸の中を熱いものが駆け抜ける。
感謝と、寂しさ。
「今までありがとうございました……っ」
俺は深々ともう一度礼をして、実家を出て行った。
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