滝行前日1
LINEで滝行に参加することになった旨を咲花さんに伝えたら、快くOKしてくれた。
前日、O駅で咲花さんと再会する。
「久しぶり!」
「はい。お久しぶりです」
「あのさあ、言いにくいんだけど…ホテル、1人部屋しか取ってないんだよねー」
「わかりました。ちょっと、私の分のホテル取ってきますね!」
「じゃあ、ホテルで待ってるねー!」
「はい」
とは言ったものの、その時期は中国人が卒業旅行でなかなか当日予約が取れない。
35回断られ、諦めて漫画喫茶に適当に泊まる。
駅のコインロッカーに一泊分の荷物を置き、ホテルが取れたと嘘をつき、夜遊びすることに。
咲花さんの友人がやっているバーに行く。
そこで、咲花さんは水のようにお酒を飲みまくる。
高そうなバーなのに。予算あるのかな?
端で、若い男の子がアニメの話をしているのを聞いていた。
そんな中、二人組のサラリーマン男性が入ってきた。
咲花さんが避け、2人を挟むように私と咲花さんが座る。
若いイケメンサラリーマンに目をつけた咲花さんは、占いしてあげる!と言った。
「俺、占いとか信じないから……」
「まーまーそう言わずに」
横にいるサラリーマンが私に話しかけてきた。
「君も占いとかするの?」
と、言って、手を出してきた。
手相は少しだけわかるので、見てみた。
「兄さんは3回結婚のチャンスがあり、24、35、39にチャンスがありました。特に35歳の時の女性は大恋愛だったけど、彼女さんの浮気で別れてます」
サラリーマン男性は目を見開く。
「当たってる!すごいなお姉さん!もっと見てよ」
「そうですね。お金運は凄くいいですね。あっちも体力があり、愛されやすい体質の人です。きっと、隠れファンがたくさんいますね」
「そうなの?!隠れファンはでてきてほしいなあ」
「それは、忍ぶ恋というものもありますから。こっそりと思うだけでも幸せということもあります。人それぞれ愛の形はちがいますから」
「君もそういう恋をしたのかな?」
「あら?バレた?」
「面白い‼︎マスター、この子の飲み代僕が持つよ!好きなだけ飲みなさい」
「え?!いいの!?」
咲花さんは目をキラキラさせる。
いや、咲花さんじゃなくて私なんだけどな。ま、いいか。
結局、私が占ったサラリーマンは私の分と咲花さんの分の飲み代を払ってくれた。
残った若いサラリーマンに咲花さんは目をつけ、タロットカードでずっと占っている。
ただ、出てるカードはそんなに悪くないのに、咲花さんはやたら彼女さんと別れろと言っている。
角の若い子に話しかけてみた。
「わたしも、そのアニメ見てみるね」
「あ、ありがとう。絶対だよ!」
「うん」
咲花さんが割って入る。
「あー、あたしそのアニメ一期から一番直近の見てるよ!あたし的に二期が最高だと思うんだけどねー」
「やっぱりそう思う?俺たちも二期がピークですよね」
お会計を済ませて若い男性客2人は出て行った。
「アニメ、詳しいんですね」
「うん。いろいろ見てるよ」
「俺、アニメとか興味ないからよくわからない」
「あたしもにわかだから、詳しくないー」
カップの中のお酒をクッと煽るように飲む。
「結婚の時期が近いね。でも彼女さんとではないね……もしかしたら、私かもよ?」
おいおい、旦那と彼氏さんは?あと、薄々感じてるけどこのバーのマスター咲花さんのこと好きだぞ?
この人、男好き?