洗脳1
次の日の夕方、咲花さんの通販サイトにアクセスした。
メニューは3つ。
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咲花の心のエステレギュラーコース-大人気コース!ご予約はお早めに-9000円
まずはお試しで!咲花のちょっと聞いてよ!お試しコース 5800円
まあ、無職だし、お試しでいいか。
お試しコースを予約して、料金はコンビニ後払い形式の電子マネーで払った。
すぐに電話がかかってきた。
「たまちゃん、こんにちはー。」
「こんにちは……」
「たまちゃんの電話、登録したから、後でラインで通知が来ると思うよー!これで私たちいつでもラインできるねー!よろしくねー!」
「はい。よろしくお願いします」
「で、聞いてほしいことってある?」
「私は、ただ咲花さんと話がしたいなって思っただけ」
「そっかあ。じゃあ、私の話聞いてくれるー?」
「はい」
「たまちゃんはさあ、学生時代嫌われ者だったとおもうのよー」
「なんでそれがわかるんですか?」
「だってなんかわかるし。私はね、わざと低い点取ってそのテストの答案用紙を後ろの掲示板に貼ってたのよね」
「へー」
「それでね、ちょっと点数が上がれば祝ってくれたよー」
「そんなことが」
「で、陰でコツコツ勉強して、府内トップの大学に行ったよ」
「そうなんですね」
「たまちゃんもさ、バカを演じなきゃダメよ。とびっきり可愛いバカを演じたら愛されるんだから。皆にはわかんなぁーいって可愛く言って、心の中でアッカンベーをすればいいのよ」
「は、はあ……」
それから咲花さんのことをいろいろ知った。
大学は理系なので咲花さんは理系女子。
高校は仏教関係の学校なので、般若心経をソラで言える。
大学卒業後は大手企業に一年いたが、うつ病と血尿が出て退職し、水商売に転職、そして結婚。その時に彼氏もできる。
彼氏と旦那がいるが、出産時立ち会いは彼氏の方だった。
そしてその後産後うつで旦那と子供と離れて暮らしているらしい。
「そうだったんですね」
「最後にたまちゃんに一枚カードを引いてあげる」
カードをシャッフルし、一枚目を私に見せる。
オラクルカード なので、タロット派の私にはわからないカードだった。
「やっぱりあなたは必要とされない人間だわ。それを変えるには、被災地に行ってボランティアしなさい。汗をかいてうまいおにぎりでも食べてこい!そうじゃなきゃあんたの人生かわらないよ!」
ちょうどその時は千葉が台風の被害で被災していた。
千葉までは住んでるところから往復で六万円かかる。
作業はできるかもしれないが……無理だろ。距離的に。泊まるところもないだろうし……
でも、やるしか、ない。
これをしたら私の人生変わるのであればやるしかないよな。
次の日、被災ボランティアの人専用の生命保険に入った。
その日の夜。フェイスブックで仲良くしているかたが乳がんになり、頭を丸めた画像が目に入る。
どうにかして、その人を笑顔にしたくて、次の日に頭を丸めた。