その夜の夜明け
「じゃあ、特別に私があなたをみてあげる。悩み言って」
「では、私のこれからを見て欲しい。ちゃんと仕事につけるかどうか」
「仕事は何をしたいの?」
「わからないです。やりたいことがなくて」
「わからないじゃ、むずかしいわね。でもいいわ。見てあげる」
お姉さんはカードを切り、3枚のカードを横一列に並べた。
「就職は難しいね。難航する。手当たり次第にウケるんだけどなかなかうまくいかない。正直あなた……誰からも必要とされていない」
そうなんだ。
「みんなあんたの存在に迷惑している。トラブルばかり起こすあんたがいらないってなってる」
お姉さんは続ける。もう、私はカードも、お姉さんの顔も見れず、下を向いて拳を握った。
「これからも仕事に就けず、底辺の生活になる。あんたは幸せになれない」
そこまでいう必要ないじゃんか。とは思った。
「まあ、いいんじゃないの?就職できなくても。生活保護にでも頼れば?」
生活保護……
「生活保護でさ、楽に生きていけばいいんじゃないの?あんた、労働向かないし、誰からも必要とされてないなら、山にでもこもって念仏唱えながら生活すりゃあ良いんじゃね?」
「ありがとうございました」
そうか。私、誰からも必要とされてなかったのか。
私は誰かの幸せを願って、いろいろしてきたのになあ。
私はどこに行ってもいらない人なんだ。
私の中で何かが壊れた音がした。
いらない人ってこと、認めてしまおう。
YouTuberのお姉さんが言うんだから間違いはないよね。
「お名前教えていただけますか?YouTubeチャンネル登録します」
「咲く花と書いてさくは。咲花さんカードメッセージってチャンネルを検索したら出てくるよ」
「じゃあ、これからよろしくお願いします」
BARから出ると、世が明けていた。青と紫が混ざり赤い雲がまだらに浮かぶ空を見上げる。
私は、これからどうなっていくかわからない。
心と頭の中がぐちゃぐちゃだったので、考えることをやめた。