救済
「あら?玉川さん、どうしたの」
私は社務所の中に通された。
おかみさんが温かいお茶を出してくれた。
今までの経緯をおかみさんに話した。
「そうだったのね。玉川さんは繊細で影響されやすいからねぇ」
「そうなんですか」
「玉川さんは頑張り屋さんだからねぇ。いろいろ大変だったね」
「あなたは人が気づかないところで神経すり減らしちゃうとこあるからね。もう少し、大きく構えなさい」
私はお茶をゆっくり飲んだ。適度の暖かさが胸に染みる。
「玉川さんがショック受けることを今から言うけど、大丈夫?」
「……はい」
「すべて、玉川さんがしたくて選んだことよ」
「私がしたくて選んだ……」
「いつのタイミングでもよかったのよ。心がこんなにボロボロになるまで、その人に尽くさなくてよかったの。親じゃないんだからあの人の面倒を最後まで見る必要は、全く無かったのよ」
「そう、ですよね」
「でも、それができないのは玉川さんの優しさであり、弱点よ。利用しようとする人を見抜く目を持ちなさい」
「はい」
「強くなりなさい。あなたは頑張り屋さんの素敵な人よ」
「……はい」
「ちょっと、落ち着いた?」
「腑に落ちた気がします」
「そっかそっか」
社務所を出ると、ふわり、と風が体を包んだ。
大丈夫だよ。と言っている気がした。