ジグザグ6
怠惰な怠惰な月曜日。あたしの右手首は相変わらず太いまま。じっとしてると痛くはないのに、もやもやが襲ってきて、つい曲げたり伸ばしたりしてみたくなる。そんな誘惑に負けると直ぐに酷い痛みが襲ってきてぽろぽろと涙が出た。あたしってバカだなあ。
ベッドが広い。
ケイコが居ない。
仕事に行っちゃったから。
まだ少し残った温もり。シーツに残った椿の香り。寝返りをうったら視界の中に昨日買った四角いテーブル。届いてみると、やっぱりちょっとこの部屋には合わなかった。絶対に合うと思ったのに何でだろう。多分きっと、そこにケイコがいないから。そんなのは最初から解ってたのかも知れない。だけど、あたしはバカだから、何時だって後から気付くんだ。
今日はこれから何をしよう。テレビも無いし映画だって借りられない。
本棚の上の目覚まし時計がチクタクチクタク時を刻む。チクタクチクタクと一秒、一秒、独りの時間に押し潰されそうになる。
悔しいけど、アイツのこと好きだったみたい。やっぱりあたしってバカだなあ。
手を伸ばしてCDプレイヤーの電源を入れた。プレイヤーの中でCDが回る。ウィーン。しばらくして止まる。再生ボタン。ウィーン。ピアノの音から始まる。そして静かなベース音。気だるい月曜日の夜に聴くなら丁度いいノラのハスキーで甘い声。これを聴いたら泣くのはもう止めよう。手首の痛み以外では。