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卑怯な魔法をかけました【ヴァーン×ルネローム】
だいぶ昔に文庫ページメーカーさんで遊んでTwitterに投げてたやつが出てきたので。
「卑怯な魔法をかけました」
突然、おまえはそう言った。
にんまりと笑うと黄色い真ん丸な月が三日月のように弧を描く。
「ヴァーンは今日これから、わたしのことしか考えられません!」
なんだそれは。
不審な顔をしていたのがバレたのだろう、彼女はぷくりと頬を膨らませた。つついてやると、ぷすぅとすぐにしぼんでしまう。
くくと笑えば、彼女は何故だか満足そうに笑った。
「やっと笑った。ねぇ、気付いてた? ずーっと眉間に皺が寄っていたこと」
気付かなかった。そんな顔で彼女に会いに来ていたなんて。
笑わせるためにあんなことを言ったのだろうか。変な娘だ。
「もう今日は帰って休んだ方がいいわ。また、会いに来てね」
そう言って彼女は背中を押した。
帰ってから気付いた。ずっと彼女のことばかり考えていたことに。本当に、変な娘だ。