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魔術師たちのカナデアイ~交錯する想いと戦い~  作者: 衣月美優
第一部 魔法学校の日常
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第三話 親友と好きな人


「マリアン、心の準備はいい?」

「うん、シーラちゃん」

 放課後、シーラとマリアンと複数の女子たちが教室に残っていた。

 シーラたちは恋バナをしていた。

 シーラとマリアンは、せーの、と声をかけて自分の好きな人を暴露するところだった。

「ニコラス」

「ニコラスくん」

 二人は同時に言い、お互いの答えに驚いた。

「え、マリアンも?」

「シーラちゃんもなの?」

 二人の好きな人が同じだったという事実に驚くのは当然だ。しかも二人は入学以来の親友なのだから。

「うわー、好きな人被るとかやばくない?」

 周りにいる女子たちの一人が言った。

 だけど、シーラとマリアンは笑顔で手を取り合って

「大丈夫だよ。だって向こうも私たちのこと好きになるかわからないし、もしどちらかが選ばれたとしてもそれは喜ぶべきことだよ」

「それに、隠し事はしないっていうのが私たち二人で決めたルールだから・・・」

 と、言った。

 まぁそれもそうか、と周りの女子たちは納得したようだった。

「でも、ニコラスくんかぁ・・・彼のこと好きな子多いよね」

「なんでもできるもんね」

 女子たちはさらに盛り上がって二人の好きなニコラス・サックウィルという黒髪の少し影のある少年の話をし始めた。

「でも、この間の飛行魔法学は苦戦してたみたいだよ」

 この言葉にはみんなビックリだった。

 ニコラスといえばどの魔法学もトップで、天才ではないか、と噂されるほどの実力の持ち主だ。

 そのニコラスが苦戦するものがあるだなんて。

「結局、あの授業の間には飛べなかったんじゃないかな?」

「えー、意外ー」

「やっぱり誰にでも苦手なものはあるっていうことかな?」

 みんな口々に話をして大いに盛り上がった。

 最終的にはニコラスの話で終わってしまったが、やはり女の子。まだ三年生でも恋バナをしたがるものだ。


「ねぇ、シーラちゃん」

 帰り道、マリアンはシーラに声をかけた。

「シーラちゃんはどうしてニコラスくんを好きになったの?」

 マリアンはずっと気になっていた。

「うーん・・・実は入学するずっと前に会ったことがあるんだよね。まぁ、見かけたって言うほうが正しいんだけど」

 シーラはマリアンの問いについて話し始めた。

「すっごいいい笑顔だったのが印象的だったんだよね。でも、入学して同じクラスになってみたら全然笑わなくて。それで、あのときみたいな笑顔を見たいなーって思って気になりはじめたの」

 そう言って、マリアンは?と聞いてきたのでマリアンも話し始めた。

「私は入学して間もない頃、まだシーラちゃんとも話したことがなかった頃に、授業で二人組にならなきゃいけないときがあって。私、気が弱いから誰にも声をかけられなくて、それで余ったのが私とニコラスくんだったの」

 シーラは、そんなことがあったんだ、と話を聞いていた。

「ニコラスくんってなんかクールな感じで、私すごく怖かったの。怒ってるんじゃないかって。でも、そのとき私が魔術を失敗しちゃってちょっと危なかったのね。それをニコラスくんが助けてくれて・・・なんだ、優しいんだって思って。それからかな、好きになったのは」

 二人はそのあとも話続けて帰った。




「はぁー、やっと放してくれたよ、エベ先生。今日のお説教は長かったー」

 カキは今日もイタズラをしたらしい。エベラルドに捕まって、休み時間の間ずっと、お説教をされたようだ。

「お前が毎日毎日イタズラしてるからだろ」

 ビトの厳しい指摘にカキは、何だよ、と言って大きく腕を振ろうとしたら、人に当たってしまった。

「・・・!何しやがる、このバカ!」

「げ!ニコラス」

 ビトは、あーあ、という顔で見ている。

「げ!とか言う前に謝れバカ」

「バカバカうるさいぞ、お前!」

「バカだろ?イタズラばっかしてる」

「はあぁぁぁあ!?」

 カキとニコラスは言い争った。ぶつけたのに謝らないカキが悪いのだが。

「ねぇ、シーラちゃん。ニコラスくんってカキくんといるときはその・・・子供っぽく感じない?」

 カキとニコラスの様子を見ていたマリアンが口にした。

 シーラはマリアンの言葉に一瞬目を丸くして、すぐに

「あはは、私も同じ事を思ってた」

 と、笑いながら言った。

 カキはある意味、いろいろな人を惹きつけるところがある。

 それは、ニコラスも例外ではないのだろう。


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― 新着の感想 ―
[一言] 優等生も一目置くいたずら小僧とは中々大物の予感です。
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