第十七話 トーナメントバトル
サバイバル合宿はなんとか無事に終わり、六日目の今日からは全クラス合同のトーナメントバトルだ。
もちろん、これもペアごとでの対戦なので、また協力が必要だ。
「これが終われば、やっとお前から解放される」
ニコラスはそう呟いた。
「何だよ!たしかに迷惑かけたけど!」
カキはそう反論したが、ニコラスはそれを無視した。
「言っとくけど、やるからには勝つからな。お前にはちゃんとやってもらわないと困るんだよ」
ニコラスはそう言ってきた。
「わ、わかってるよ」
カキはそう言ってはみたが、正直自信はなかった。というか、また迷惑をかける様子しか思い浮かばなかった。
でも、それじゃあまたニコラスに文句を言われる。いや、文句どころではすまないかもしれない。
とにかく、頑張らなくてはいけない。勝つためでもあるが、これから戦闘魔術師を目指すものとして。
トーナメントバトルの前に、予選が行われる。さすがに全クラス合同だと数が多すぎるからだ。
「トーナメントバトルって言っても、戦うわけじゃない。今までのまとめで、どれくらい優秀かっていうのを競うものだ。だから、本当に足引っ張るなよ」
予選前に、ニコラスが再度カキに言った。
「だから頑張るって!」
カキはそう声をあげた。
予選は先生たちがそれぞれの実力を測って、その上位五十組がトーナメントバトルの出場権を与えられるというものだ。
予選内容は二人でどれだけ明るい光を灯せるかというものだった。
奇しくも前にたくさん練習したものだから、予選は何とかなるだろうとカキは思った。あの頃よりはもっと長く明るい光を出せるようになったし。
「次、カキとニコラス」
二人は部屋へと入り、三人の先生の前で光の魔術を出した。
薄暗い部屋は一気に明るくなった。
カキも頑張ったが、ニコラスは相当頑張っただろう。カキの倍以上の明るさを出していただろうから。
予選結果が貼り出された。
「とりあえず、予選は通過だな」
カキはホッとしながら呟いた。
ニコラスは、あたりまえだ、と言いたげな様子だったが。
結果が貼り出されると同時に、トーナメント表も貼り出された。
カキとニコラスの初戦は四回戦目のようだ。相手は別クラスの生徒。今まで同じクラスにもなったことがない。
「あぁ、一年のときに同じクラスだったな。そのときの成績なら中の上くらいじゃねぇか?」
カキがビトに対戦相手のことを訊くと、そう答えてきた。
中の上。カキは、まぁ、下くらいだから、少し不安を感じながらも、でもニコラスと一緒だから余裕だろうとも感じた。
一人だったら間違いなく負けていただろうが、そうではないからカキは安心していた。というか、一人だったら予選も通過できなかっただろう。
ニコラスとはなんだかんだ言ってこの合宿の間うまくやってきたし。カキは自信を持って初戦を挑むことにした。
はじめに少し不安を感じたけど、そこまでではなかった。というか、圧勝だった。
とはいえそれはニコラスがいたからだが。
でも、初戦はわりと簡単な魔術だったから、多少はカキも役に立ったとは思う。なんて、カキは自分に言い聞かせる。
まぁ、なんにせよ、一勝だ。次も勝つ、とカキは拳を握りしめ思った。