とある変わり者の手記 1
『君はベクトルを知っているかい?そう、あの矢印の。向きと大きさのアレだよ。
え?本題とは全然違う?まぁまぁ落ち着いて。お茶でも飲んで落ち着きたまえよ。よし、飲んだね?結構。
大切なのはベクトルという考え方だ。例えば、キミは三鷹から吉祥寺へ行くとする。バスで行く?電車で行く?自転車?それとも、歩く?
ふむふむ、そうか。結構だよ。
この様に、同じ三鷹〜吉祥寺間の移動でも、実際は様々なルートがある。しかし。
そう。しかし、だ。ベクトルという考え方においては、これは全て"三鷹〜吉祥寺"という"同じ移動"と見なすのさ。寄り道をしようが、ヘリで行こうが、地球を一周しようがね。1つの"三鷹〜吉祥寺"というベクトルには、実は無数のパターンが秘められている。
ボクが目をつけたのは、ここなんだ。
1つの結果には無限のやり方がある。
本題に戻ろうか。ボクが提示するのは、エネルギーの話だ。
エネルギーは質量×光速度×光速度と、かつて天才は言った。ボクは物理はてんでダメだから詳しくは説明できないのだがね。
ボクはこう考えるんだ。
この関係は、ベクトルでいう無数のルートの1つに過ぎないのではないか?とね。
こう考えた時、ボクは1つの"別ルート"に強く惹かれたんだ。恋に恋する少女の様にね。
それこそがボクの提唱するものの根源さ。
人の想いのチカラ。これをエネルギーに出来ないか?ってね。』