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最強とは?それは特に重要では無い。  作者: くぅ
第1章 世界が変わる時
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ケンカと戦闘

(総帝。緊急のご連絡がございます。イジア大陸のアンド国に魔族軍が現れたとの事。これより、帝数名とギルド隊で向かいます。)


(分かったわ。私もそっちにスグに向かうわ。)


メアルに世界ギルドから緊急の念話が入った。

アキトとミャーに気付かれない様ににこやかな表情を作る。


「あら、もうこんな時間ね。そろそろ、行かなきゃ。」


メアルは自然を装いレストランの会計を済ませてアキト達と共に店を出る。


「すまないメアル。ご馳走様。」


アキトは顔色が悪く食あたりでもしたのだろうか。


「良いのよ。気にしないで。」


ニコッと微笑む天使は先程、チャラ男を1発でK.Oした同一人物とは思えない。


「ご馳走様でしたにゃ!アネゴはこれからどこに行くにゃ?」


「ちょっと、これから用事を済ませようと思ってね。じゃあ、また今度ゆっくり話しましょ。」


バイバーイと言って、小走りでかけて行った。

嵐の様な女だとアキトは思う。


「おい!テメーらか!?俺達のダチをやってくれたのは?」

「テメーらタダじゃおかねーぞ!」

「あの女はどこに行きやがった!絶対に許さねー!」


そこには先程のチャラ男達と10人ぐらいの同じ様な格好をした連中がいた。

当然、こうなりそうな予感がしていた。

周りはすでに人集りが出来ており、注目のマトである。

「何だ?何だ?」、「やべーよ。ケンカだ!ケンカ!」、「おい!押すなよ!ケンカあってんだってよ!」と聞こえてくる。

アキトは溜め息をつきながら、どうにか穏便に済ませようと試みる。


「すいません。さっきは俺も止めよ「アニキに逆らうと痛い目見るにゃ!覚悟は出来てるにゃ!」」


ダメだ。コイツ(ミャー)がいると治まるもんも治まらない。


「言ってくれるじゃねーか!この人数見て言ってんのか!?コッチに着いてこい!」


近くの空き地に連れて来られたアキトとミャー。

周りにはそれを見ようとゾロゾロと烏合の衆が集まっており、逃げ出せる状況では無くなっていた。


「今なら土下座して謝れば、許してやっても良いぜ?それと女も連れてこい!可愛がってやるからよ!」


ケラケラと笑うチャラ男達。

アキトはとにかく目立たない様にこの場をのがれたい。


「すまな「ジョートーだにゃ!アニキ!コイツらやっちまってにゃ!」」


「。。。」


ミャーよ。ちょっと黙って欲しい。セリフが全然言えないのです。と思うアキト。


「アニキ!コイツら弱虫にゃ!寄ってたかってしかケンカも出来にゃい弱虫だにゃ!ボッコボコにしてにゃ!」


青筋を浮べるチャラ男達。怒りで震えている。


「テメー!糞ガキ!言わせておけば言いたい事言いやがって!やっちまえ!」


同感です。とガックリ肩を落とすアキト。

アキトの後にササッと身を隠したミャー。


うおぉー!と一斉に襲い掛かってくるチャラ男達をストレス発散の為、フルボッコにしたアキトであった。




そのころ世界ギルドの一室では、転移魔法陣にのり詠唱をしている総帝の姿があった。

世界ギルドには各国と繋がる転移魔法陣が無数に存在している。


転移!


イジア大陸では最も大きな国であるアンド国の王城に転移した総帝。

そこには、この国の王であるシャガール王が片膝を床につき待ち構えていた。


「状況の説明を。」


「お待ちしておりました。総帝。事態は深刻であります。アンド国の北の防壁に現れた魔王軍はおおよそ200。帝達とギルド隊、国軍、合わせて3000の兵で戦闘を行っております。すでに、300の兵が死傷しております。申し訳ございません。」


「分かった。スグに向かう。」


「周りの諸国にも応戦を要求しております。数は2000。間も無く到着してくれるとの事。くれぐれもそれまでご無事で。」


「分かった、転移。」


短い言葉を残し、転移した先は帝達が戦闘を行っている防壁。

防壁は至る所崩れ、煙が上がっている。

兵士達の雄叫びが響き渡る。


1人のギルド隊員が総帝に気付く。

その身に付けた鎧は焦げ付きボロボロである。


「総帝!?来てくださったのですね!魔王軍の四天王の1人が暴れ回っています!雷帝様と水帝様が戦闘しておりますが、止められません!」


「分かった。他は?」


「他は国軍とギルド隊員で何とか持ち堪えております!」


「私は四天王の所に行く!皆に伝えろ!援軍が来るまで防御に徹しろと!」


「了解しました!」


ザッと目にも止まらぬスピードで走り出した総帝は腰に差したレイピアを抜き放つ。

神々しく光るソレは、魔剣パロナ。

白銀の刀身は細く突きに特化した形状であるが、魔力を込める事で強度を増し、先端から鋭い魔力を飛ばせる武器である。


「待たせたわね!雷帝!水帝!」


「総帝!ありがてえ!ホンマに待っとったわ!」

「総帝様!相手は四天王の『炎龍姫』です!」


雷帝ライジーン・ボルト。水帝ユリアス・アクア。

身に付けたローブが焦げ付き、顔も黒ずんでいる。周辺の木々が燃え広がり辺りは火の海。

かなりの数の兵士が倒れているのが分かる。


「ひャひャひャ!笑えるだっちゃ!来るのが遅いだっちゃね!総帝さん!」


その身に赤々と燃える炎龍を纏い、空に浮かぶ影。

赤いゴスロリの服の四天王の1人『炎龍姫』のソーベース・カロライナ。

煙りが立ち込める中、気味の悪い笑いを振りまく。


「いくわよ!」


総帝はソーを睨みつけ声を上げた。


「ああ!了解!」

「挽回します!」


水帝級魔法「スプラッシュレインアロー!」

雷帝級魔法「スパイダーネットサンダー!」


水帝と雷帝が放った魔法は混合魔法。

凄まじい数の水の矢を降らせ、蜘蛛の巣状の雷電を水矢を通して、敵に甚大な被害を与える超高難易度の混合魔法である。

相性の良い、水帝と雷帝しか使えない魔法なのだ。

数人の魔族達はその矢の餌食となり、体に穴を開け痺れて動けなくなった。


「くっ!こしゃくだっちゃー!!!」


炎王級魔法「ファイアウォールバーニング!」


ソーの周りから爆裂の火炎の壁が立ち上り破裂する。水帝と雷帝の放った電撃の無数の矢を次々と打ち消す。


総帝は膨大な魔力を魔剣パロナに注ぎ込み、四天王ソーに集中する。


魔突(まと)つ!パロナレーザー!!」


ソーが魔法を放った瞬間、魔剣パロナから放たれた突きの魔撃。

眩い光の光線は火炎の壁を突き破り、ソーに直撃した。


「ぐはっ!」


たちまちに火炎の壁は崩れ、再び雷電を纏った水の矢が降り注ぐ。

更に遠くから諸国の兵団が見える。このままだと、魔王軍は苦戦を強いられる。


「くそっ!ひ、引くだちゃ!て、撤退だっちゃ!」


その日の戦闘は総帝が駆け付けた事で、被害が少なかったとは言え数百人の兵士やギルド隊員が犠牲となった。

怪我人もその倍以上出たのである。

魔王軍も数十名が死亡し、この地に甚大な被害をもたらした。


この日を境に更に魔王軍との戦闘が激しさを増す事となる。

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