地下空間
「ただいま~。」
「おかえりなさいませ。」
ドカッっと椅子に腰掛けるアキト。
そしてすぐに、テーブルに置いた分厚い本を手に取り読み出した。
SSSランクの魔物を先程倒した素振りは一切無い。
ププが張ったブラックシールドは解除されている。
多少レッドワームの血液が小屋まで飛んで来たが、シールドによって守られた。
「アキト様。レッドワームの亡骸は地中に保管いたしますね。」
「ああ。よろしく頼む。」
魔物の素材は貴重な資源でもある。
レッドワームは地中深く、約2000mにいるために体内に多くの水分を含んでいる。
この砂漠の環境では水分を確保する為に魔物から取れる水分しか無いのだ。
当然、魔物から水分を抽出するには、魔法を駆使して取り出さなければならない。
しかし、あれだけの巨体。地下までどの様にして運ぶのか?
この小屋の地下300mにドーム状の巨大な空間がある。
土魔法でドームの壁は補強され、あたかも金属の様な鈍い光を放っている。
そこには、魔物の亡骸が至る所に並べて置かれているのだ。
そのほとんどがSS以上の魔物であり巨体である。
そこに突然魔法陣が現れ、巨大な赤い物体が転移してきた。レッドワームの亡骸である。
その背には執事服を着た、ププが立っている。
おそらく、この100mを超えるレッドワームを意図も簡単にここに転移させたのだ。
無属性の転移魔法はダークシールドと同じく帝級魔法である。
しかし、帝級魔法とは言ってもこのレッドワームの巨体を転移させるのには普通の転移の10倍以上の魔力が必要となるはずだ。
執事であるププもアキトと同じく規格外の強さを持っているに違いない。
「さて、どこに置きましょうか。」
ププはレッドワームの背から飛びおり、カニの様な魔物の横へ移動する。
もちろん、カニの魔物は死んでいるのでピクリとも動かない。
プラチナクラブ。見た目はシルバーのゴツゴツとしたカニ。SSSランクの魔物で体長は20m。その大きなハサミで何者も捕食する強者。死んではいるが。。。レッドワーム同様、この赤い砂漠にしか生息しない特殊な魔物だ。
その素材は市場には流通していない貴重なものである。
「この辺に置いときますか。」
ププがレッドワームに手をかざすと。
ズズズズズ
レッドワームの巨体が引きずられるように移動し始めた。
プラチナクラブの真横まで引きずられて、綺麗にならべられた。
ドーム状の壁ぎわに並べられたSSランク以上の魔物達は壮観である。