17話 新たなる従魔
戦闘シーンは、やっぱ難しいです。
ゴブリンの軍勢を目視、冒険者の配置…………完了。
魔力充填開始……爆裂魔法発射準備良し。
目標、敵密集陣型中央部……照準良し。
発射!
ズウオォォォン!
「行けえぇぇぇぇ!」
勇者ケルタニアンの号令と共に、冒険者たちがゴブリンに襲いかかった。
と、ちょっとシリアス気味に進めてきたけども、戦局は圧倒的に冒険者が押している。
そもそも最初の爆裂魔法も、かなり加減してるしね……うむ、我ながら加減が上手くなったものだ。
装備も全く違うので、ここも勝負にならない。
そもそもゴブリンが爆発的に12000もの数に増えても、装備がそれに合わせて増える事は無いのだ。
それゆえ、ゴブリンの装備は貧弱だ。
こん棒・木の枝・手に持つ石などがメイン武器で、枝を束ねた鎧・葉を重ねた兜がメイン防具。
しかも人間よりも身体的に劣るゴブリンなのだから、勝負にならないのは当然だ。
ちなみにコレが村人を襲った後だと話が少し変わる。
包丁・ナイフ・鍬などを持つだけで攻撃は危険なものになるし、鍋や桶でも少しは攻撃を防げる。
こうなると新人冒険者程度では、数の暴力で押し切られてしまうのだ。
そんな新人冒険者から装備を奪って……となると、もう厄介以外の何物でもない。
故に今回のような相手は楽だ。
それでも装備のそこそこ充実した相手は、ポツポツと存在する。
俺やドラ吉やケルさんの標的は、そういったヤツらだ。
なるべく若い連中の経験値稼ぎをスムーズにしてやりたいからな、レベルアップ酔いになったら笑ってやろう。
ヒュン
目の前をドラ吉が通り過ぎて行く、自らを弾丸として貫通攻撃を仕掛けているのか……心配無いとは思うが、他人には当たるなよー。
さて、俺も周りの人を巻き込まないように、もっと奥に行くか……。
…………
「けっこう減ってきたな」
範囲斬撃を飛ばしながら、めぼしい敵を探す。
後ろ!?
バチイィィィィ
渦巻く刺突撃を左手で受け止める。この攻撃は……。
「ちょっとケルさん、こっち当てないでよ」
「あー、わりいわりい、一撃入れるなら今かなぁとか思っちまってよ」
「それ全然悪いと思ってませんよね」
「模擬戦でずっとボコられてたから、やってみたかったんだよ。それにお前なら当たっても平気だろ」
先ほどから二人とも会話をしつつ、ゴブリンを斬り伏せている。
「服がダメになるからやめて」
「なんだよ、ケチくせぇ」
「そういうコト言うなら、爆裂魔法に巻きこみますよ」
「……さぁ! ゴブリン退治だ!」
誤魔化しやがったな。
爆裂魔法、発射。
…………
将軍クラスのが、ぼちぼち現れてきた。
てか、どっから出てきた?
たまたまケルさんが視界に入ったので、駆け寄る。
「ケルさん、巣がありそうなんですが、どこだと思います?」
「あーそうだな、強そうなのはあっちに多かったな」
「そっか、俺はあっちで片付けてたから……」
ん? あれモリアンか? 周り全部囲まれてるし……考えないで突っ込みやがったな。
大丈夫だと思うけど……右半分に雷魔法を飛ばして沈めてやる。
「あの辺が怪しいですかね」
「行ってみるか」
「ドラ吉!」
「ぴゅい!(ここに)」※
すぐさま近くに現れる……なんか忍びを呼んだ気分。
「俺とケルさんは巣を探して突入する、他の冒険者が危なくならないように気を付けてやってくれ」
「ぴゅい!(御意!)」※
※ナミタローにはカッコ内の台詞に脳内補完されてます。
……思わず注釈付けてしまった。
目的地の近くへ走る途中でモリアンが手を振ってきた。ゴブリン殴るついでに。
「さっきはあんがとー」
「おう。前に出過ぎだぞー、仲間のトコ戻れー」
短く会話をして目的地近くへ……さて、ゴブリンの巣はどこだ?
「ナミタロー、あったぞ」
ケルさんが見つけたようだ。
「なるほど、洞窟の1m手前にこんな大きな岩があったとは」
「いい目隠しだよな、行くか」
「行きましょう」
洞窟に潜りながら敵を倒していく。
「気のせいか、強くなってきましたね」
「気のせいじゃ無く強くなってるよ、当たりだな」
いた、ゴブリン王だ。
「もらい!」
「ケルさんズルい!」
抜け駆けしたケルさんは、ゴブリン王に斬りかかると見せて、残像を残す。遊んでんなー。
そして後ろから――あれ? 刺突撃が飛んできた――飛んできた先からは……ゴブリンキング?
こっちも残像? イヤ、装備が違う。
「ゴブリンキングが2体? まじかよ」
「イヤ、ケルさん、2体じゃないみたい」
奥からまだ出て来る、3・4・5・6・7……とりあえず7体。
「ケルさん、4つ貰いますよ」
「あ、きたねー」
そこはお互い様ですよー。
敵のド真ん中に位置取る、さぁおいで。
前後左右からの攻撃を紙一重で避けてみる。うん、なんてお上手な俺。
そろそろ攻撃するか……。
おもむろに愛刀の神木刀タナカムラクンを構える。
背面の敵からの上段からの剣撃を上に弾き、その流れで前の敵へ振りおろし1体目。
右からの槍をそのまま左にいなし、その槍で左の一体の動きを止める。いなした回転のままに右の1体の首を刎ね、後ろの1体が弾かれた剣を戻す前に胴薙ぎにする、これで3体。
胴薙ぎにより少し低くなった体勢を狙って残りの1体が斧を振りおろすが、斧は俺の目の前3cmを素通りする。
それを横目に下段から一気に木刀を振り上げ、最後の1体は縦に2つとなった。
ふむ、こんなもんか。
「さて、ケルさんは、と」
2体は既に倒して、最後の1体と遊んでる……あ、終わった。
「かぁ~、物足りね~、せめてこいつらの装備がガチガチだったらなぁ」
「それはそれでハタ迷惑な存在ですよ」
「そうなんだけどよー」
「一応奥まで確認しておきましょうか」
「そうだなー」
………………
「ナミタロー、そっちになんか居たか?」
「なんにも、あと見て無いのはこっちだけですね」
「さっさと終わらすか」
「そうすね」
奥へと進むと……さらに奥に進むと……さらに奥へ……長げーよ! なかなか端まで辿りつかねーよ
あ、やっと何か気配がする。
「ようやく何かいますね。遠目からだとー、ゴブのキングかな?」
「おまえさっき4つ殺ったから、今度のは俺な」
「えー、でもラスボスっぽいのに……」
もう駆けだしてるし。
ガキン!
「うおっ!」
へ? 弾かれた? ケルさんが?
そこは流石に勇者、ケルさんはすぐに体勢を立て直してピタリと構える。
「こいつは当たり引いたな。ナミタロー、手ぇ出すんじゃねーぞ」
「ほーい、ケルさんが死んでからにするね」
「……俺にも手ぇ出すんじゃねーぞ」
「ちっ」
「おいナミタロー、てめぇ何だ今の舌打ちは! やるなよ! 絶・対・に やるなよ!?」
フリかな? フリなのかな? あっちの世界なら間違い無くフリなのだが……。
迷っているうちにケルさんが再び動く。
また得意の残像。ウソでしょ? 反応してるよ。後ろに現れたケルさんを槍で突くゴブリン王。残念、そっちも残像だ。
いつの間にか上にいたケルさんが切りおろす、得意のパターンだ。
ガキーン!
止めちゃったよ、いつの間にか右手に斧を持っているし――すいませんいつの間にかはウソです、俺には全部見えてました――だってこのほうが実況してるっぽいじゃん!
それにしても右手に斧を持ってた事はともかく、あのボロ斧でケルさんの一閃を止めたコトには驚いた。
コイツ本当にゴブリンキングか? まさか新種で、カイザーとかスーパーとかゴッドとかになったんじゃ……。
はっ! まさかさっき倒したゴブリンキングの中に、親友がいたなんてコトは!
あの造物主の作った世界なら、あり得る……ヤツならやりかねん……。
などと妄想で冤罪被害を生みだしながら見ているが、
ゴブリン王(強)の攻撃は、さっきからケルさんの体をすり抜けていた。
ケルさんの動きはもはや残像を通り越して影分身だな、ケルさんの主に腱を狙った細かい攻撃も少しずつ効果が出ている。
これでもまだ様子見だ、隠し持った何かが無いか慎重に見極めているのだ。
急にケルさんの動きが大胆になる、見極めたか?
ザシュザシュと要所を切り、動きが止まったところを……。
マズい!
カチン!
ケルさんが飛び退いた。
そこには黒い槍でゴブリンキングを貫いた悪魔が、悔しそうな顔で立っていた。
「あぶねー! 助かったぜナミタロー。あの野郎ゴブリンを楯にして俺の心臓狙って来やがった」
そう、ヤツはゴブリンキングの影から出現し、ゴブリンキングの体という死角からケルさんの心臓を狙った突きを放ったのだ。しかもケルさんが止めを刺そうとしたタイミングに、ゴブリンキングの体を貫いて。
木刀が間に合って良かった。
「油断しましたね、ケルさん。まぁ、俺もなんですが」
「しっかし、ここで悪魔が出て来るたぁな」
ズルリ、とゴブリンキングの体が崩れ落ちる。
「クそ、ウまく殺ったとオもったのに……」
「生憎だが、上手くいったとしても俺は死んでねーよ。勇者ナメんなよ」
「まさか、こいつも悪魔が作ったとかなのか?」
死体となったゴブリンキングは、かなり強かったし……。
「ツくってはイない、キたえてソだてただけだ」
独り言に反応してくれたよ、この悪魔。前回の奴といい、コレって仕様なのか?
「鍛えて育てただと? そんな事もやりやがんのかこいつら」
驚くケルさん。
「他のゴブリンもか?」
せっかくなので色々聞いてみよう。
「アいつらは、フえるのをテつだってヤっただけだ」
「何でそんなコトをした?」
「キまっている、コの世界を混乱サせるためだ。ソれが私のシめいだ、ワたしはその為にツくられた」
前にも聞いたセリフだな。
「この世界をか……」
こいつらの立ち位置って……。
「ドルァポタの土地は、平和スぎる。ユえに混乱サせねばならぬ、ジゃまをするな」
「お前らを作ったのは誰だ?」
「……ソれは言えない」
今、声には出さなかったがクチが動いた。悪魔だし異世界言語だからちゃんと読みとれん。だがあの動きはたぶん……半分以上勘なのだが、まさかね……。
「ドルァポタの勇者は、ハいじょ対象。シね」
悪魔がケルさんに襲い掛かってきた、もちろん遅れを取る勇者ではない。落ち着いて槍を捌き胴に一撃、動きを止めさらに必殺の一撃を加えようとするが……。
急に赤く光り出す悪魔、と同時に魔力が急激に膨れ上がっていく……これは!
「ケルさん、自爆だ!」
飛び退くケルさんだが、ここは洞窟の中。
「クソ、狭めー!」
慌てて俺は悪魔とケルさんの間に魔法で障壁を張る。
ゴオォォォォォン!
爆発と共に天井が崩れ落ちて来る、上にも障壁を張る。
その結果。
……えぇ、生き埋めになりましたよ……。
四畳半一間のスペースに、おっさんと爺さん二人きり。
なんか将棋盤とか出したくなるシチュエーションなんだが……。
「ナミタロー、なんとかしろ」
「また大雑把な指示を……」
「できるんだろ?」
「できますけどね」
「じゃ、早くやれ」
まったくもう、せっかちだなー。
仕方無いので、土魔法で上に向かってマンホール大の穴を開けて行く。
土は周囲に圧縮して固めて、崩れにくくしておく。
祝 貫 通 ♪
「娑婆の空気は美味いぜー」
ちょっと言ってみたかった。
「まったく、生き埋めにされるとはな」
穴を塞ぎ周囲を見渡すと、殲滅戦はあらかた終わっていた。
「ぴゅい」
暇してたのかすぐに相棒がやってきた。
「ドラ吉もご苦労さん、よくやってくれたな」
「ぴー」
撫でてやると、喜んでいるようだ。
ケルさんも撫でたそうにしていたので、替わってやる
「そうだ……ケルさんって、ドルァポタの勇者なんですか?」
さっきの悪魔との会話で、ちょっと気になったので聞いてみる。
「まぁ、そうだな」
「ひょっとして、他にも勇者っていたりします?」
「いるぞ、俺入れて6人」
「けっこういますね」
「この大陸の神様1人につき勇者が1人だな。ちなみに北隣のはトレマステ神の勇者でナルキスだったかな? 東隣のはサオナッチ神の勇者で……名前なんっだっけな? なんかいい歳のおばさんのはずだ。全部で6人いるぞ」
「あれ? でも神様って全部で7人いませんでしたっけ?」
「主神の女神アルミトゥシュ様は、土地を治めていないからな。勇者も持たないんだよ」
「ふ~ん、土地を治めてる神様1人に勇者1人かー。はっ! ひょっとしてケルさんはこの地に縛られて……」
「んなこたぁねーぞ、その辺は自由だ。ドルァポタの土地から出にくいのは確かだけどな」
「そうなの?」
「神様たちはともかく、国同士は争う時もあるだろ? 迂闊に移動すると狙われたりすんだよ、勇者はその土地の最高戦力だからな」
「大変ですね」
「大変だよ、だから10日分のメシ作ってくれ」
まったく、この爺さんは……。
「なんとか終わりましたね」
冒険者と一緒に参戦していたギルマス(エルフさん)がやってきた。
「そうですねー。それにしてもこの死体の山、どうするんです?」
「もちろん燃やしますよ、このままだと衛生面でも治安面でも問題ですからね」
「燃やすかー、この数を……」
「何日かかるか正直頭痛いですよ。あ、正式にゴブリンの死体処理の依頼出ますから、ちゃんと受けて下さいね」
「めんどくさいなー」
「現在ブンレドの街に滞在登録している冒険者は、強制ですのでよろしく。受けなかったらポイント引きますからね」
「強制なの!?」
「はい」
ニッコリ笑って肯定するギルマス……この人笑顔でムチャ振りするタイプだわー。
「おう、そうだ。一応報告しとくわ、洞窟の中に悪魔がいたぞ」
思い出したケルさんがギルマスに報告する。
「悪魔ですって?」
「俺も見たよ。で、ケルさんが倒した」
「あれ倒したって言うのか? 自爆だぞ?」
「では今回の事態は、悪魔の……」
「らしいぞ、その辺はナミタローに聞け」
「へ? こっちに説明丸投げする気ですか?」
「だって悪魔と話してたのはお前じゃねーか」
「そうだけどさ」
掃討戦をサボって、話は続く。
違う、間違った、報告、報告ね。サボってたワケじゃないよ。
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チン、チン、チン
ゴブリン殲滅戦から早3日。
俺たちはすっかりゴブリン火葬職人と化していた。
良さげなモノとか魔石とか拾い放題♪……とギルマスに言われたが俺にとってはロクなもん無いし、ゴブリンの魔石なんてクズみたいなもんだし、ぶっちゃけやる気無し。
クズ魔石集めれば人造魔石を作る実験ができるから頑張ろう、と自分に言い聞かせるが……それでも気が乗らない。
チン、チン、チン
なので、まだ午前中なのに昼飯を作っている。
チン、チン、チン
今日のお昼は『海老ラーメン』だ♪
てーかさ、ブンレド海老が名産なのに海老ラーメンの店が無いとか、ありえなくね?
イヤ、ブンレド海老は伊勢海老系だから違うとか言われそうだけど、いいダシ取れるんだよ?
チン、チン、チン
現にこのスープだって、すんごい海老の香りと濃厚なダシが効いてるし。
これだけ飲んでも満足できるほどなんだから。
チン、チン、チン
…………
「うるさいぞドラ吉、もう完成だから丼叩くの止めなさい。つか行儀悪いから」
「びゅー」
「箸取り上げるぞ」
「ぴゅいー」
さっきからチンチン聞こえている音は、ドラ吉がラーメン丼を叩いていた音だ。
前々から使えるかな? と思っていたので箸を与えてみたら、ドラ吉も使ってみたかったらしく大喜びではしゃいでしまってこの状態。まったく……。
作って置いた塩ダレにスープを入れて、これも作り置きの麺を魔法で茹でる。水魔法で湯切りして……スープに投入。煮玉子はドラ吉と半分こして、岩ノリをパラリと散らす……ジセーカ村のタケノコで作ったメンマとマダラキクラゲを乗せて、チャーシュー代わりに海老のすり身団子をトッピング。白髪ネギをふわりと乗せて……よし、完成♪
「よし、食べよう。いただきまーす」
「ぴゅぴゅーい」
うん、我ながら美味。つーか自分好みに作ってるんだから当たり前っちゃ当たり前だけど。
塩にして正解だな、海老のダシが体に染みる。貝柱やブシや茸も使ってるけど、ちゃんと海老が主役になってるなー。すり身団子もいいな、つなぎに使った一角ザメの肉の油は品が良い。
ドラ吉は? と思って見たら――マジか、箸を器用に使いこなしてやがる――イヤ、使えそうだとは思っていたけどさ……。
もうこいつ、何でもアリだな。
…………
「うん、まんぞくまんぞく」
「ぴゅいぴゅい」
食べ終わってくつろいでいると、草むらからゴソゴソと音がした。
匂いに釣られて獣か魔物でも来たかなーと思ったが、食後の後片付けと同じくめんどくさいので放置。
そのうちゴソゴソが足音になり、クンクンと近くで匂いを嗅ぐ音に変わった。
ドラ吉の視線からして、すぐそこまで来てるな。てかドラ吉、なして見てるだけ?
さすがに気になったのでそっち見ると……ゴブリンか? ずいぶんちっこいな、身長50cmも無い。子供なのかな?
目が合ったゴブリンの子供は固まっている。気持は解らんでもない。
お、固まってる自分に気が付いた……ど、どうしよう、といった感じだ。振り帰って逃げた……あ、転んだ、しかも顔面から。
そういやあのケルさんが最後に相手したゴブリン(強)は、悪魔が鍛えたとか言ってたな。俺が鍛えたらどうなるんだろう? 実験してみようか……。
ようやく起き上がった子ゴブにおもむろに近づく、ビビる子ゴブ。そらそうだわな、仲間を虐殺した相手だもの。あ、漏らした――ふむ、男の子か――涙目になってるけど固まって動けないようだ。そんなに怖がらなくても……。
ぎゅるぎゅる
子ゴブの腹の虫が鳴った。餌付けしてみるか?
「食うか?」
食いかけだったのを思い出した肉まんを、目の前に出してやる。
くんくんくん
怖いと食べたいの間で揺れる子ゴブ……食べたいが勝った。
食べ終わって我に返る子ゴブに、俺はこう言った。
「お前、従魔になるか?」
「グギャ」
こうして子ゴブは俺の従魔になった……イヤ、簡単すぎね?
一応ほら、俺って仲間のカタキだし。まぁ、お前がいいならそれでいいんだけど。
…………
「さて、従魔にしたからには名前付けてやらないとな」
「ぴゅい」
「グギャ」
ゴブ吉、は間違って呼びそうだな。ゴブ乃介、はこいつにはカッコ良すぎる。ゴブ長、なんかゴム長靴みたいだ。ゴブっち、はニックネームだな。ゴブータ、うん? そうだ、ゴブ太、ゴブ太にしよう!
「よし、決めたぞ! お前の名前は『ゴブ太』だ!」
「ぴゅいー」
「グギャー」
こうして二体目の従魔、ゴブリンの『ゴブ太』が仲間となったのであった。
「グギャー」
…………
……鳴き声が可愛くないので、言葉教えてみよう。
従魔増やしてみました♪
出番…ちゃんと作ってあげられるかなぁ…。




