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3.3層をお散歩です

ブクマありがとうございます!


今回は少し短めだと思います。途中で視点が変わっています。

緊急事態です。

あ、おはようございます。いやいや、そうじゃなくて。

ピンチです。ピンクじゃないです。ピンチです。そしてパニックです。

あれ?昨日リオのお腹に抱きついていたのに今は目の前に黒が見える。リオは白狼だから毛は白い。という事は、これはレオか?それとも1晩でリオが黒くなったというのか?それはないだろ。

「騒ぎすぎだろ」と考えるかもしれないが、前者だった場合、私は夢遊病ということだ。ただでさえ歩く核爆弾のようなものなのに、試したこともない攻撃系の魔法を加減できずにぶっぱなしたらえらいことになる……。怖すぎるぅぅぅ!それと、言っておくが私は年頃の乙女なのだ寝顔を見られるのは嬉しいことではない。


そろりと音が出ているような動きで頭を上げると、聖獣達と目が合った。あれ?めっちゃ見られてるんだけど。やっぱり私なんかやらかした!?


「えっと…その、おはよう。」


どうやら私は、丸まったリオを背中にして隣にいるレオに顔を埋めていたようだ。しかも、そんな私達を囲むようにアルが横たわっている。

何なんだ。厳重すぎるぞ。私もうやらかしたのか!?


『おはよう。』


皆から挨拶がきた。が、なんか気持ち悪い。こっちを見てニコニコやらニヤニヤとも取れるような雰囲気がでてる。さすがに動物(いや、聖獣だけど)の表情はよくわからないが、なんか…こう上手く言えないけどレオ達の感情が伝わってきているのだ。


『可愛い寝顔だったわ』


私が怪訝な顔をしていたのがわかったのか、リオがクスクス笑いながら答えてくれる。


「え…。」


もしかして私が起きるまでずっと見つめてたとか…。

恥ずかしい、恥ずかしすぎるだろ。私は年頃の乙女だと言ったではないかぁー!聖獣だし動物だけど、そんなにニコニコニヤニヤ見つめられると流石に恥ずかしくもなる。

慌てて起き上がると、揃いも揃って残念そうなオーラを出してくるがもう勘弁して欲しい。


いいか「どんだけ寝ているんだ」とか思っているんだろうが、ちゃんと探知は発動しているし何か異常があったら目が覚める。

今もしっかり異常がないことを確認しているのだ。


「あの、今日は森の中を散策したいと思ってるんだけど…いい?」


未だに見つめてくる聖獣に向かってやりたいことを伝える。

流石にここに来て3日しか経っていない。知りたい事は沢山ある。それに、私の知識によればこの森の中には美味しい木の実が沢山あるらしいから是非食べてみたい。


『む、結界の中は良いが外はダメだぞ。』


レオさん曰く、結界内なら良いらしい。やったー!


『森なら我が案内する。』


よし!と気合を入れて立ち上がると声がかかった。むぅ~。確かにレオならここの森のことも知っていそうだし、お願いしようかな。

そう思い返事をしようとするとリオが意見する。何なんだ。聖獣とは口を挟むのが好きなのか…?私にしゃべらせないつもりか…!?


『いやよぉ。私がルナと一緒に散歩するわ!』


可愛すぎる!ぐぅ萌!畜生、可愛すぎる…。許す!許しちゃう!


『良いではないか、リオに譲っても。それに、偵察の話をしなければならないからな。』


『…うむ、そうであったな。リオ、ルナのことを頼むぞ。』


『言われなくてもわかっているわよ。さぁ!ルナ、行きましょう!』


アルが助け船を出して話がまとまったようです。私の意見ガン無視ぃ。まぁ、いっか。


「うん!」



わくわくで出発したのはいい。森の中は想像以上だった。


神木が大きいのは説明したが、3層の森の木々は神木と同じくとても大きいのだ。流石に神木程ではないが、その幹は小さくても約直径5mはある。

でも、幹が太い分木々の間隔が広いので狭いとは思わない。圧迫感はすごいけど…。きっとここの森の木は何千年と生きているのだろう。凄い。

そんな私に気づいたのか、リオが尋ねてきた。


『どうしたの?』


「うんん。凄いなぁと思って。」


そう言うとリオは納得したのか、それ以上は聞いてこなかった。


「あ、そうだ。リーシェの実食べてみたいの。確かこの季節でしょ?何処か実がなっているところ知ってる?」


本題を思い出した。

リーシェの実はシャリっとしたモモみたいな実で、リンゴ程の大きさをしている。この森にしかならないという実だが、結構繁殖してるので一般の市場にもこの時期よく出回っているという。この森にしかならないが、木も丈夫なので金持ちの家で育てることも可能らしい。お金かかるらしいけど…。


まぁ、取り敢えず私はそれを食べてみたい。半神になったお陰で飲食は不要になったけど、食べれない訳では無いし味覚もしっかりあるので気になったのだ。

それに、元々人間だったのもあり食べたい気もする。


『えぇ、もちろん。沢山なっているところを知っているわ。』


おぉ!知っているようで良かった。しかも沢山!大興奮だ。


「案内よろしくね!」


『任せて!』


リオに案内を頼んで付いて行く。ついついニヤニヤとしてしまうのは仕方の無いことだと思う。前の世界と似たものがあるのはやはり嬉しいものがある。

ただし、私の知識の中のこの世界の食事は味付けがシンプルだと思う。塩や胡椒はあるのだが、コンソメなんてものは無いしケチャップも無い。

元日本人として味気がなさすぎる。


『そういえば、ルナは念話を使えないの?』


考え込んでいたらリオから声がかけられた。


「念話ってリオ達がやってるやつ?」


確かに聖獣は皆念話を使っている。今のところは。


『そうよ。これ便利でね、遠く離れた人にも使うことが出来るの。』


「へぇ~!同時に複数とでも使うことが出来るの?」


『やろうと思えばね。』


なんと!めっちゃ便利やん!グループ電話みたいな事もできるらしいし…。

やってみたいなぁー。イメージとしては……相手の頭に自分の思っている事を伝えるような感じかな?

試しにやってみる。


『リオ、聞こえる?』


『ええ、聞こえるわ。もう出来るなんて凄いわね!』


『ありがとう!』


どうやらあっていたみたいだ。

そうして初の念話に感動して、リオとたわいも無い事を話しているうちに目的地についたらしい。


『ここよ。』


「わぁ~!」


綺麗な場所だった。周りよりも少し開けた場所に、リーシェの木がたくさん生えていてそこに光がさしていた。

何故そこだけ開けているのかと辺りを見渡すと、中心に倒木があった。その木だけ枯れてしまったのかだいぶ下の方から倒れていた。しかし、そのお陰でリーシェの木は沢山光を浴びて青々としていた。実も枝が下がる程大きく実っていた。


幻想的な風景だった。あまりにも綺麗で感動して立ちすくんでいると。私すぐそばをリスが駆けて行って、リーシェの実に飛びついた。そのうち仲間も集まってリーシェの実を分け合いながら食べている姿はとても可愛らしかった。


そんな可愛らしい姿に誘発され、私もリーシェの実を1つもぎ取り齧り付く。

大きさはリンゴだけど、見た目や味はモモだ。モモのリンゴって不思議な感じもするけど、シャキシャキしていてとても美味しい。


『美味しい!美味しいよ、リオ!』


そう言うとリオは笑って私のそばに来てくれた。


『良かったわ。ここでお昼寝してからのんびりと帰りましょ。』


『うん。』


リオが倒木のそばに横になったので、私ももう1つ実を取って移動しようとすると小さなウサギが実を取ろうとしてるのが見えた。しかし、リーシェの実は木になっているのでウサギのいる低い場所には実がなっていないのだ。


「おいで。」


そう言うと素直に寄ってきたので、抱えあげてリオの所まで行きもたれ掛かる。

リーシェの実はウサギには大きいと思い、創造でナイフを作り8等分に切り分けて口に運んでやるとモキュモキュと口を動かしながら食べていく。

微笑ましく思いながら、私も自分の分も食べる。


ウサギはそのまま完食すると膝の上で寝てしまった。それを撫でて目を閉じる。

意識が沈む前に「おやすみ」と聞こえた気がした。





«同時刻»


あの後取り残されたレオとアル。


『で、話は何だ。偵察中の事は念話で聞いたはずだぞ。』


『そう言うな。もう、近いかもしれぬのだ。』


レオが苛立ちを隠さずに言うが、アルは気にせずに話し出す。


アルは今ノスタリカ帝国の偵察を担当している。それは、ノスタリカ帝国の動きが最近怪しくなってきたからだ。

神威の森は肥えていて植物が育てやすい上に狩りもできる。しかも、神木を手に入れれば世界の力を手に入れられるというものや、不老不死になれるという噂があるのだ。実際そんな事をしたら世界が崩壊に進んでしまう。

まぁ、そこに目をつけたのか最近ノスタリカ帝国と神威の森が接している領地に人や物が集まってきているらしい。

エルフの国や獣人の国は、神木や神威の森を神聖視しているのでそんな心配はない。が、人間とは欲深いもので力を手に入れたがる。これがまた、周りを犠牲にしてまで手に入れたがるからタチが悪い。


『もう来るのか?』


『いや、すぐにとは行かないが早ければ秋の頃には……。』


『そんなにか!?』


『あぁ、その為に異世界から勇者なる者を召喚したというのは話しただろう?ヤツらの能力値の上がりが予想以上に早いのだ。』


『そうか……。ルナにも前線に出てもらわねばな。』


『動物達も避難させねば。魔獣達も魔素を奪われないように結界を張らねばならん。』



どうやら、平和だった森に影がかかってきたようだ。


さて、攻め込んでくるまでに備えておかねばならないことが山積みだ。そしてルナにも伝えなければならない…。


どうなってしまうのか。それは1人の半神となった少女が鍵を握っている。


次回は番外編として、ノスタリカ帝国について書いていこうと思います。


わからないところがありましたらコメ欄にてお願いします。

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