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セカンド・リアル 6

正直に言うと、この世界から出たいとは思わない。しかし、先程あんな啖呵を切ってしまった以上、脱出するしかない。

そう考えているうちに、視界上部にメールアイコンが表示された。

ゲームの詳細は届いたメールに書いてあった。視界の真上にある緑色のバーとその下にある黄色のバーは体力ゲージとスタミナゲージ。左上にあるのはマップ。左下にはチャットログが存在する。メニュー画面の開きかたは、空中で右人差し指をトントンと動かすと視界に映る。

「ふー」

メールを読み終え、タスクは一息つく。

──ここは、ゲームの中か…

状況を改めて再認識して、思考を回す。

脱出方法はこの世界の何処かにいる弥富謙介からゲームマスター権限を奪い、タスク自身を強制ログアウトさせること。しかし、ゲームの中とはいえ、かなりの広さだ。人間一人など簡単に見つかるはずもない。

ふと、脳裏に森の中に一つの小屋がある光景がフラッシュする。

「情報屋…そうか、その手があった」

情報屋

ゲーム内にあるグランドフォレストという森の中にある小さな小屋に、金と引き換えに情報をくれるNPCがいる。しかし、ゲーム発売の一週間後、攻略掲示板がネット上に出され情報交換がそこで行われるようになったので、情報屋は必要なくなってしまったのだ。

タスクは広場を全速力で走った。大きな門が目の前に現れる。ここを抜けて北東に進めばグランドフォレストだ。

タスクは門を抜けて森へ向けて走ったら。このゲームから抜け出すために。


二時間後。

空が茜色に染まる。時間は六時十四分。

タスクの目の前には古ぼけた小屋が建っている。一発殴ったら小屋に穴が開きそうだ

アストラインから情報屋へ行く道に魔物を三十体近く倒していたタスクは、ゲーム内での戦闘経験を積んでおくことにしたので、二時間もかかってしまったのだ。

タスクは小屋の前に立ち、ボロボロのドアに付いたドアノブをひねり、引く。

ギィと音をたてたドアはまたもこの小屋を古く見せた。

小屋の中は、ドアを潜ってすぐ目の前にカウンターがあり、その奥に白い髭と髪の毛を伸ばした老人が立っていた。こいつが恐らく情報屋のNPCだろう。

タスクは老人の近くまで進み、カウンターをまたいで視線を交わす。

タスクは今まで知りたかった事を情報屋に尋ねる。

「弥富謙介は何処にいる」

「いくら出す」

即答、流石NPCだ。

視界の中央に数字が並び出す。その上には小さな四角。その上にはタスクの持つ全財産、62432861と表示されている。

「六千万ってとこか…」

タスクは視界に映る数字に三千万と入力する。

視界から数字などが消えると、老人は小さく頷き、口を開く。

「弥富謙介の居場所は、ダグモ鉱山のフロアB6のボス部屋の奥にある」

タスクはそれを聞いて絶句する。

「そんな!あの部屋の中は奥に何も無かったぞ」

タスクの叫びをスルーし、口を閉じる。どうやらもう答えるつもりはないようだ。

タスクは小屋を出て大きくため息を付く。

──行くしかないか…

タスクはアストラインに向けて歩き出した。

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