セカンド・リアル 12
地面を蹴って一気に走る。剣を構え、この世界入って最速の水平斬り。
その攻撃を弥富は縦で防ぎ、剣で反撃、それをかわして次の一撃。しかし、その攻撃をまたも防がれ、反撃される。
これが長く続き、タスクは距離をとってフラッシュスタブを打ち込む。それを盾で受け流され、またも反撃される。今度はこの攻撃を背中にくらい、一割体力が削れる。
「くっ!」
倒れかけた体制から体を回転させて攻撃を繰り出す。今度は対応されず、腹に斬撃を与える。弥富の頭上に表示された体力が一割五パーセントほど削れる。装備の防御力の差で、やはりダメージ量が少ない。
体制を立て直して再度攻撃開始。剣を斜めに斬り下ろす。その刹那…
「シールドバッシュ」
ガキン!
タスクの振り下ろした剣が弥富のスキルによって空中に舞った。
「くっ!」
タスクは大きくバックステップをとる。しかし、それを追撃してきた弥富の攻撃を肩にもらう。体力ゲージがまたしても一割削れる。
タスクは十メートルほど距離を取り、剣の位置を確認する。剣の位置は…弥富の後ろだ。
タスクは一度大きく深呼吸をして、両手を強く握る。
…やるしか、ないか
決意を決め、思い切り地面を蹴る。
急速に弥富に接近しながら、大きな声でスキル名を叫ぶ。
「ダイヤモンドナックル!」
スキル名を叫ぶと、両手が綺麗な水色に輝く。
ダイヤモンドナックル
素手の場合攻撃力を十秒間上げる素手スキル。追加効果で、攻撃が盾に当たった場合、盾へのダメージが二倍になり、その攻撃力の二割がプレイヤーにダメージを与える。習得にはかなりの時間と根気を使うので、持つものは殆どいない。
右拳を弥富目掛けて振るう。それを弥富は盾で防ぐ。しかし、体力ゲージが少しばかり削れる。
ここで、タスクの怒涛の攻撃を開始する。
「爆裂拳!」
爆裂拳
素手スキルのトップクラスのスキルだ。三秒の間に何十発のパンチ攻撃を高速で打ち込む。
連続パンチを全て盾で防いでいる弥富は、ダイヤモンドナックルによって体力ゲージを減らしている。
ついに、弥富の盾に無数の亀裂が走る。そのままガラスが割れたかの様に爆散し、空中でそれが溶ける。それと同時に爆裂拳の攻撃が終わる。
…チャンス!
脳裏でそう叫ぶと、タスクは左フックで弥富の右頬を殴る。そのまま弥富は右に吹き飛ぶ。
すかさずタスクは地面を蹴り、落ちている片手剣を握り、弥富も対峙する。
弥富はよろよろと立ち上がり、こちらを睨む。その刹那、右手に握られた剣を捨て、空中で指を動かす。そして、何も無いはずの右手に綺麗なライトエフェクトを放ちならが両手剣がオブジェクト化する。その間わずか二秒。
タスクが口を開く。
「武器のチェンジはありなのかよ」
「必要であれば変更しても構わないが」
「必要無いな」
そう言ってタスクは改めて弥富を睨んだ。