表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/14

セカンド・リアル 11

その声には聞き覚えがあった。確か昨日、現実世界とこの世界に入ってから。

すると、脳裏に一つの名前がフラッシュした。

「弥富…謙介!」

「気づいたか」

その人影は、ゆっくりとタスクに近づく。

その男は、白い白衣をなびかせ、強い視線をタスクに向けた。

大人びた口調をした男、弥富謙介は空中をなで、水色の八面体がオブジェクトさせ、左手の上に浮かせる。

「これはシステムコンソールだ。これを使えば君はこの世界から出る事が出来る」

「ゲームマスター権限はどうした」

タスクの問いを、ゲームマスターはすぐに返した。

「あれを使うと八パーセントの確率でバグが発生するのでね。こちらの方がいいかと思ってね」

そう言うと、弥富謙介は右手をシステムコンソールに触れる。その刹那、白衣がいきなり光となって消滅し、代わりに鉄の鎧、盾と剣を装備した。

「えっ!」

明らかにおかしかった。なぜならその装備は全て低レベルで手に入る装備だからだ。だが、一つ確実にわかる事がある。それは…

「お前を倒さないと、この世界からは出れないって事だな」

そう言うと、弥富謙介は素っ気なく応えた。

「そうだ。君は私と戦い、勝たなければこの世界から出る事は出来ない。しかし、前と同じように戦っても面白くない。そこでだ、今度のアップデートに追加する新しい職業、フリージョブで戦いたいと思うのだが」

その提案には賛成だ。しかし、一つの疑問がある。職業によっては、使用できるスキルが限られている。タスクの使用できるスキルは片手剣スキルと素手スキルなどだ。

しかし、その疑問を察したらしい弥富謙介は、タスクの疑問に応えた。

「フリージョブの使用できるスキルは全てだ」

…そうか

タスクは息をゆっくりと吐く。緊張を抑えるためだ。

「君は革と鉄の鎧、どちらが好みだ」

革は防御力が低いが軽い。対して鉄は防御力が高いが重い。タスクは軽い革を選択した。

「革だ」

「そうか、ではどの武器がいい」

ここは即答。

「片手剣」

弥富謙介はタスクの答えを聞き終えると、システムコンソールに触れた。その瞬間、タスクの装備が先ほどの弥富謙介のように外れ、革の鎧と片手剣が装備された。

「今ならスキルの変更を変更してもいいぞ」

そう言われて、タスクはメニューを呼び出し、スキル設定でスキルを変更した。

それを見た後、弥富謙介はシステムコンソールに触れる。その直後、先程まで減少していたタスクの体力ゲージが回復した。

タスクは大きく深呼吸をして、口を開いた。

「さあ、始めようか」

弥富謙介はその言葉に、システムコンソールを握り潰して返した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ