セカンド・リアル 10
ストライクドライブ
体全体を使って縦の回転斬りをする大技。剣技スキルの中でもトップクラスの攻撃力を持つスキルだ。
タスクはスキルを死神に向けて放つ。それを死神は鎌を使って防ぐ。
「くらえぇ」
タスクの剣と死神の鎌が金属音を響かせながら衝突する。
ピキッ
不快な音が近くで鳴る。音源は死神の鎌だ。死神の鎌は蜘蛛の巣状にヒビが広がり、やがて爆散する。
タスクはその勢いを止めず、斬撃を死神の体に垂直に斬り込む。
床に着地したタスクは自分の体力ゲージが数ドット削れているのを確認する。落下ダメージだ。
すぐに視界を死神の頭の上に持っていく。体力ゲージが黄色に染まっていれば、体力が半分削れている証拠だ。
死神の体力ゲージの色は…
「みどり…」
死神が闇色の炎を縦に伸ばし、新たな鎌へと姿を遂げる。
死神が鎌を振り上げる。
恐怖で脳からの命令が足に届かない。足が震え、背筋が凍る。これがゲームの中だとは思えないぐらいだ。
…死んだな、俺
ザシュッ!
…おわった
目を瞑る。視界の上にある体力ゲージがみるみるうちに減って…
「あれ?」
体力が減ってない。
「じゃあ、今のは…」
視界をもう一度死神の体力ゲージに移す。色は黄色。状態異常のマークは既に消えていた。
死神がタスクに背を向けた。
そのまま大きく鎌を振り上げる。
…今だ
タスクは死神と距離を取り、アイテムストレージから回復薬を飲んで体力を全回復させる。
その直後、パーティメンバー全員が死神に向けて攻撃を開始した。
そこからは早かった。タスクも攻撃に加わり、死神に攻撃を開始し、二分足らずで体力を全て奪った。
clear
視界に文字が浮かぶ。
「ふー」
緊張がとけ、息をゆっくりと吐き出す。
ふと、視界の目の前にある壁に縦長の半円の扉が開く。
「あそこか」
タスクは立ち上がり、その扉に向けて走り出した。セクロの事も忘れて。
扉を潜ると一本道が長く続いた。一本道を抜けるとドーム状の空間に出た。なかなかの広さだ。
ドーム状の中央に人影が一つ見えた。その人影にゆっくりと近づく。
前に見たような姿だ。職業はナイト。普通のプレイヤーとはオーラなんかが全く違う。
「やっと来ましたか」
どこかで聞いたような声がドームの中に響いた。