おじいちゃんの古い屋敷
おじいちゃんの古い屋敷は、おじいちゃんのおじいちゃんが建てたそうで、とても広く使ってない部屋も沢山ありました。
太い柱と梁に支えられた広い天井裏は物置になっていて、食器や着物、ひな飾りなど普段使わない物が色々仕舞われていました。
雨の日など外に出られない時は、ここで宝探しやカクレンボをして遊びました。
ギシギシと軋む階段を上り、薄暗い天井裏を恐る恐る進んで行くと、「くっくっくっ……」押し殺した笑い声が、何処からともなく聞こえてきました。
「あかねちゃん、どこ?……どこなの?」
箪笥の上で気配を消して隠れ潜んでいた女の子が、「うお~!」と叫びながら飛び降りてきました。
「ぎゃー!」あまりの恐ろしさに僕は腰が砕けてしまい、四つん這いのほうほうの体で逃げ出しました。
「うわっはっはっはっ!」そんな僕の姿を見て、女の子は床を転げ回って笑っていました。
春には、裏の田んぼでれんげの花冠を作りました。
夏には、鬼灯の実で笛をつくり、キューキューと鳴らしました。
秋には、庭の池に楓の葉を撒き、水面を深紅に染めました。
冬には、濡れ縁の上に雪うさぎを並べました。
来る日も来る日も、僕達は本当の姉弟のように肩を寄せ合って遊びました。