おじいちゃんの水飴工場
熱気と騒音に満ちた水飴工場には大きなタンクや窯が立ち並び、大勢の大人達が忙しそうに働いていました。
僕達は働く人達を避けて縫うように歩き、工場の奥にあるポン菓子部屋に向かいました。
最近出来たばかりのポン菓子部屋には、大砲のようなポン菓子機が一列に並んでいました。
白い作業着に長靴を履いたおじさんが、ガスバーナーの火力を調整しながら、頃合を見計らってポン菓子機の留め金を木槌で叩いていきます。
"バン!" 耳の鼓膜も裂けそうな大きな爆発音と共に、大量のポン菓子が飛び出してきました。
ポン菓子機を見るのは初めてらしい女の子は「ひっ!」と小さな叫び声を上げて、ピョンと飛び上がりました。
「はっはっはっ!」と僕が笑うと「ふっふっふっ……」 と女の子もつられて笑い出しました。
おじさんが木槌を振るう度に、僕達は耳を両手で塞いで「うわー!」とポン菓子機の爆発音に負けないくらい大きな声で叫びました。
やがてポン菓子部屋の奥には、僕達の背丈を越えるポン菓子の山が出来ました。
おじさんが休憩で部屋から出て行くと、僕達はポン菓子の山の中に飛び込み、まだ熱く芳ばしい香りのするポン菓子の中を泳いだり潜ったりして遊びました。